シアリスの禁忌・併用注意は?一緒に飲んではいけない薬・飲み合わせ

シアリスはほかのED治療薬と比較して持続時間が長いことから、日本国内でも好まれて使用されるようになりました。
しかし、シアリスを服用してはいけない人(禁忌)や避けるべき飲み合わせが存在します。
今回は、シアリスの禁忌・併用注意を詳しく解説します。
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シアリスの禁忌(飲んではいけない人)
シアリスの禁忌に該当する方が服用した結果、日本国内では心筋梗塞などの死亡事故を含む重篤な心血管系などの副作用が多数発生しています。
以下に該当する方は、禁忌に指定されており、シアリスの服用ができず、当クリニックでは処方もできません。

シアリスの禁忌(疾患・状態など)
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アレルギー反応(過敏症)を起こしたことがある方

シアリスに含まれる有効成分タダラフィルや添加物に含まれる化学物質は、人によってはアレルギーを引き起こす原因物質(アレルゲン)となります。
実際、シアリス服用後のアレルギー反応(過敏症)として以下の症状が報告されています。
主なアレルギー反応
- 発疹
- 蕁麻疹
- 顔面浮腫
- 剥脱性皮膚炎
- スティーヴンス・ジョンソン症候群(皮膚粘膜眼症候群)
過去にシアリス服用後、何らかのアレルギー反応を起こしたことがある方は、再び発疹などのアレルギー症状が現れる可能性が高まるため、シアリスを服用できない禁忌に指定されています。
また、重いアレルギー反応が起こると、アナフィラキシー・ショックを引き起こす可能性もあります。
アナフィラキシー・ショックとは、内臓や全身などに現れる急性アレルギー症状です。
急激な血圧の低下や呼吸困難、意識レベルの低下、失神など、早急に治療しなければ命を落とすこともあるので、シアリスに対して過敏症がある方は服用してはいけません。
シアリス服用後、何らかのアレルギー反応が起こった場合は、ただちに使用を中止し、医師に相談しましょう。
脳梗塞・脳出血・心疾患の方

以下に当てはまる方も、シアリスを服用できない禁忌に指定されています。
シアリスを服用できない人
- 過去6ヶ月以内に脳梗塞、脳出血を起こしたことがある方
- 過去3ヶ月以内に心筋梗塞を起こしたことがある方
- 過去に心不全、不安定狭心症、生命に危険のある不整脈などを起こしたことがある方
脳梗塞や脳出血、心筋梗塞を起こしたことがある方は、その患部や血圧の変化に対しての調節機能が安定していません。
そのため、シアリスの血管拡張作用によって血圧低下を招き、不安定な患部などに悪影響を与える可能性があります。
また、性行為は血圧、心拍数、心筋酸素消費量を上昇させるため、心臓に負担がかかります。
過去に心不全、不安定狭心症、生命に危険のある不整脈などを起こしたことがある方は、その度合いによっては性行為に心臓が耐えられない可能性があるため、性行為が不適当と考えられます。
完治していても、過去に心不全、不安定狭心症、生命に危険のある不整脈などを起こしたことがある方は、念のため医師に身体状態などは伝えておきましょう。
低血圧・高血圧の方

シアリスは血管拡張作用があるため、服用後に血圧の低下を招くことがあります。
低血圧の方はさらに血圧が低下し、生命に危険が及ぶ可能性があります。
また、高血圧の方は、急激な降圧によって心筋梗塞や脳梗塞などを起こすリスクが高まるのです。
具体的な血圧の数値の目安
血圧に関するシアリスの禁忌 | 数値の目安 |
---|---|
低血圧 | 最大血圧(収縮期血圧):90mmHg未満 最低血圧(拡張期血圧):50mmHg未満 |
高血圧 | 最大血圧(収縮期血圧):170mmHg超過 最低血圧(拡張期血圧):100mmHg超過 |
低血圧気味、あるいは高血圧気味の方は、シアリスの処方を受ける前に医師に相談しましょう。


重度の肝機能障害の方

シアリスの有効成分タダラフィルは、主に肝臓で代謝・分解され、無害化されて排泄物とともに体外に排出されます。
しかし、肝硬変など重度の肝機能障害の方は、体外への排出が遅れてしまうのです。
その結果、タダラフィルの血漿中濃度が増加し、効き目が強く出たり、弱体化した肝臓に負担をかけたりしてしまうことから、シアリスを服用できない禁忌に指定されています。
重度の肝機能障害の方は、シアリスの処方前に医師に相談しましょう。
併用禁忌薬を服用している方

特定の医薬品を服用している場合は、シアリスを服用できません。
シアリスの併用禁忌薬に該当する医薬品を服用中の方は、事前に医師に相談が必要です。
具体的なシアリスの併用禁忌薬は、後述しています。
シアリスの併用禁忌薬(一緒に飲んではいけない薬剤)

シアリスには、併用して服用できない薬剤(併用禁忌薬)があります。
併用禁忌薬とシアリスを服用することは極めて危険であり、日本国内では併用による重篤な有害事象が発生しています。
以下に該当する薬剤は、シアリスと併用して飲めない併用禁忌薬です。
シアリスの併用禁忌薬
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硝酸剤(一酸化窒素供与剤)
ニトログリセリンで知られる硝酸剤(一酸化窒素供与剤、NO供与剤)は、狭心症や心筋梗塞など虚血性心疾患の治療に使用される血管拡張薬です。
一酸化窒素(NO)が血管の平滑筋を弛緩させることで、血管の拡張を促す作用が働き、血圧の低下を引き起こす副作用が認められています。
シアリスも同様に血管を拡張させることから、降圧作用が二重に働き、過度に血圧を低下させてしまう可能性があるのです。
海外および日本国内では、併用による重篤な有害事象が多数報告されています。
そのため、硝酸剤または一酸化窒素供与剤は、絶対的な併用禁忌薬に指定されています。
硝酸剤には、経口服用の「飲み薬」に限らず、「塗り薬」「貼り薬」「吸入薬」「スプレー」「注射」などのタイプの薬剤がありますが、いずれもシアリスと併用してはいけません。
sGC刺激剤
sGC(可溶性グアニル酸シクラーゼ)刺激剤は、CTEPH(慢性血栓塞栓性肺高血圧症)やPAH(肺動脈高血圧症)などの肺高血圧症治療に使用される薬剤です。
sGC刺激剤の有効成分リオシグアトは、血管拡張作用をもたらします。 中でも、経口服用の「アデムパス錠」は、慢性血栓塞栓性肺高血圧症と肺動脈高血圧症の2つを治療できる肺高血圧症治療薬であり、シアリスと併用してはいけない薬剤です。
アデムパス錠とシアリスを併用すると、血管拡張作用が二重に働き、低血圧を起こすことがあります。
アデムパス錠の添付文書にも、sGC刺激剤が併用禁忌薬に指定されています。
シアリスの禁忌以外で服用前に相談すべき方

シアリスを服用してはいけない方(禁忌)には該当せずとも、以下に該当する方は事前に医師に相談してください。
場合によっては、当クリニックでシアリスを処方できません。
シアリスの服用を注意すべき方
- 陰茎に構造上の欠陥がある方
- 持続勃起症の原因となる疾患のある方
- 出血性疾患・消化性潰瘍の方
- 重度のED(勃起不全)の方
- 軽度・中等度の肝機能障害の方
- 中等度・重度の腎機能障害の方
- 過去にNAION(非動脈炎性前部虚血性視神経症)を起こしたことがある方
- 未成年(満18歳未満)の方
- 高齢者の方
- 興味本位で服用を考えている方
- 性行為が不適当と考えられる方
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陰茎に構造上の欠陥がある方
陰茎に構造上の欠陥(陰茎の屈曲や線維化など)がある方は、シアリスを含むED治療薬の服用時に性行為が困難または不可能になったり、勃起時に痛みを伴ったりする可能性があります。
特にペロニー病(陰茎硬化症/形成性陰茎硬化症)の方は注意が必要です。
ペロニー病とは、陰茎の海綿体を囲む繊維性の白膜などが炎症を起こし、硬いしこりができる疾患です。
しこりの部分は勃起したときに正常に伸びないため、勃起時の陰茎に大きな歪曲が生じてしまいます。
勃起時には痛みを伴うこともあり、悪化するとEDの原因にもなります。
このように、陰茎に構造上の欠陥がある方がシアリスを服用すると、陰茎を傷つけたり症状を悪化させたりする恐れがあるため、注意が必要なのです。


持続勃起症の原因となる疾患のある方
持続勃起症とは、自分の意思や性欲と関係なく勃起状態が続く症状です。
陰茎の海綿体の動脈が何らかの原因で破れ、過剰に血液が流れ続ける動脈性持続勃起症と、陰茎の海綿体の血流が悪く、うっ血して起こる静脈性持続勃起症があります。
持続勃起症を発症している方は、シアリスの併用に注意が必要です。
動脈性持続勃起症では、陰茎の硬さが不完全な状態で痛みを伴いませんが、静脈性持続勃起症では、陰茎が硬く完全勃起状態で痛みを伴います。
また、静脈性持続勃起症では血流が止まることから、放っておくと新鮮な酸素が送られず、発症から約6時間で陰茎の海綿体などの組織が壊死し始めます。
組織の損傷が激しいと勃起機能を永続的に損なうこともあるのです。
慢性的な貧血を伴う「鎌状赤血球症」や血液のがんとも呼ばれる「多発性骨髄腫」「白血病」などの方は、陰茎の血流に影響を与えやすく、勃起持続症を発症するリスクが高いとされています。
以上のような疾患のある方がシアリスを服用すると、血管拡張作用によって血流が増加することが引き金となり、勃起持続症を引き起こす可能性があるのです。


出血性疾患・消化性潰瘍の方
出血性疾患や消化性潰瘍の方は、禁忌には指定されていませんが、シアリスに対する安全性は確立されていません。
シアリスの服用で血小板の働きに影響を受けたり、出血の可能性が高まったりする恐れがあります。
血小板は、血管が破れて出血している部分に集まり、固まって破れた穴を塞ぐ働きを持っています。
しかし、血小板に存在するホスホジエステラーゼタイプ5(PDE5)の働きをシアリスの有効成分タダラフィルが阻害することで、血小板の機能を低下させてしまう可能性があるのです。
病状の程度によって、シアリスを服用できる状態か判断する必要があるので、出血性疾患や消化性潰瘍の方は医師に相談しましょう。
重度のED(勃起不全)の方
重度のED(勃起不全)の方は、心血管系障害(心疾患など)を抱えている場合が多い傾向があり、程度によっては性行為が不適当と考えられ、シアリスの服用はできません。
性行為は心臓に負担をかけるため、シアリスでED治療を開始する前に心血管系障害の状態を医師に伝え、服用可否を相談しましょう。
軽度・中等度の肝機能障害の方
重度の肝機能障害の方は、シアリスの禁忌に指定されていますが、重度でなくとも軽度または中等度の肝機能障害の方は注意が必要です。
肝機能障害が軽度または中等度の方でも、体外への排出が遅れるため、有効成分タダラフィルの血漿中濃度が増加し、効き目が強く出たり、弱体化した肝臓に負担をかけたりしてしまう可能性があります。
そのため、肝機能障害の方には、低用量のシアリス錠5mgから服用を開始するなど、慎重に投与する必要があります。
また、軽度または中等度の肝機能障害の方が服用できる最高用量はシアリス錠10mgまでです。
肝機能障害が重症化して肝硬変に至ると、シアリスは服用できません。
中等度・重度の腎機能障害の方
腎機能障害の方は禁忌に指定されていませんが、中等度または重度の腎機能障害の方はシアリスの服用用量に注意が必要です。
中等度または重度の腎機能障害の方は、人工透析(血液透析)を受けているような末期の腎不全の方などが該当します。
人工透析を受けていても、シアリスの服用はできます。
しかし、腎臓は代謝機能を担う臓器なので、腎機能が低下すると薬剤の有効成分の血中濃度が高くなり過ぎてしまい、副作用が起こりやすくなるため、低用量の服用から開始するのが基本です。
中等度または重度の腎機能障害の方は、シアリス錠5mgから服用を開始しましょう。
その際、服用間隔は24時間以上空ける必要があります。
また、中等度の腎機能障害の方はシアリス錠10mgを超えて服用してはならず、シアリス錠10mgを服用する場合は、服用間隔を48時間以上空けなければなりません。
重度の腎機能障害の方は、シアリス錠5mgを超えて服用してはいけません。
このように、腎機能障害の重症度によってシアリスの服用用量が異なるので、処方を受ける際には医師の相談が必要と理解しておいてください。
過去にNAION(非動脈炎性前部虚血性視神経症)を起こしたことがある方
海外では、シアリスなどのED治療薬を服用後、まれに視力低下や失明の原因となりうるNAION(非動脈炎性前部虚血性視神経症)の発症報告がされています。
NAIONとは、視覚をつかさどる視神経に栄養を届けるための動脈が、血流障害によって狭まることで引き起こされる視神経疾患です。
片眼に突然、痛みを伴うことなく起こり、視界の下半分または上半分が見えなくなったり、中心部分が見えなくなったりします。
両目に起きる可能性もあり、起床時にNAIONの発症に気付くことが多いとされています。
NAIONを起こしたことがある方は、視力低下や失明を誘発する可能性があるので、シアリスの服用は控えたほうがよいでしょう。
未成年(満18歳未満)の方
未成年(満18歳未満)の方がシアリスなどのED治療薬を服用することは違法ではなく、添付文書でも禁止はされてはいません。
しかし、未成年は身体的に成長段階で、自律神経が安定していないので、万が一の副作用のリスクを考えると、シアリスの服用は慎重に検討する必要があります。
未成年の方が勃起できない原因の多くは、心因性EDによるものです。
性行為自体に慣れておらず、緊張感が先立ち、勃起に集中できないなどの理由でEDになることが多いと考えられます。
成長とともに乗り越えられる問題なので、年齢的に見てもシアリスなどのED治療薬に頼る必要がない場合が多々あります。
未成年の方は、医師としっかりと相談し、シアリスが必要と判断された場合のみ処方してもらうようにしましょう。
当クリニックでは、未成年の方でも18歳以上(高校生を除く)であればシアリスの処方をしています。
高齢者の方
シアリスの服用に年齢制限の上限はありませんが、高齢者の方(65歳以上の方)は注意が必要です。
高齢者の方は、若年者の方と比べると有効成分タダラフィルの代謝・分解が遅れるので、血漿中濃度が上昇しやすくなります。
状態を鑑みて、シアリス錠5mgから服用するなど用量を調整する必要があります。
また、高齢者の方は基礎疾患などを抱えている場合が多いので、治療のために服用している薬剤が飲み合わせの悪い薬剤(併用禁忌薬)かどうか注意しなければなりません。
シアリスの併用禁忌薬は、後述しています。
興味本位で服用を考えている方
シアリスは、EDや性行為などで悩む方達がより充実した生活を送るために使用される医薬品です。
むやみやたらに興味本位で服用するような医薬品ではありません。
興味本位での不正入手や不適当な使用方法によって重大な事故も発生しています。
自然な勃起が可能で、EDや性行為などで悩んでいない方は、シアリスは必要ないと考えられるので、服用を控えましょう。
性行為が不適当と考えられる方
その他、疲労や低栄養などによって体力が極端に低下している方などは、性行為自体が不適当と考えられます。
性行為は体力を消耗する運動のようなものです。
運動によって血圧や心拍数は上昇し、少なからず心臓に負担をかけます。
体力が極端に低下している方などは、シアリスの服用によって性行為を頑張りすぎて、過度に心臓に負担がかかる可能性があるので注意しましょう。
シアリスの禁忌薬以外で併用に注意すべき薬剤・飲み合わせ

併用禁忌に指定されている薬剤でなくても、シアリスとの併用に注意すべき薬剤があります。
以下に該当する薬剤は、シアリスと併用する際に注意してください。
場合によっては、思わぬ副作用を引き起こす可能性があります。
また、該当する薬剤を投与中の方は、シアリスの処方前に医師に報告してください。
シアリスの併用注意薬
- PDE5阻害薬(シアリス以外ED治療薬)
- 硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を含む点眼薬
- チトクロームP450 3A4阻害剤(グレープフルーツ含む)
- チトクロームP450 3A4誘導剤
- 降圧剤
- カルペリチドを含む薬剤(心不全治療薬)
- 抗生物質
- 睡眠薬
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PDE5阻害薬(シアリス以外のED治療薬)
シアリスとほかのED治療薬(PDE5阻害薬)との併用に関する安全性は確立されていません。
シアリスと同時に、バイアグラやレビトラなどのED治療薬を服用しても勃起に対する相乗効果は期待できず、効果の持続時間も変わりません。
シアリスは、どの用量でも服用は1日1錠までとされています。
そのため、シアリスとほかのED治療薬を一緒に飲む行為は、1日2錠服用することと同じということになります。
過剰なPDE5阻害薬やED治療薬の摂取は、血管拡張作用の働きを過剰に強める結果、低血圧などの副作用のリスクを高めるので危険です。
医師の指導なく、独断でほかのED治療薬とシアリスを併用しないようにしましょう。




硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を含む点眼薬
硝酸剤(一酸化窒素供与剤)を含む点眼薬は、併用禁忌として指定されていませんが、シアリスとの併用には注意が必要です。
点眼薬に含まれるニプラジロールという成分には、ほかの硝酸剤などと同様に血管拡張作用があるため、シアリスの作用と重複して思わぬ副作用を引き起こす恐れがあるのです。
実際、ニプラジールを含む飲み薬タイプの薬剤「ハイパジールコーワ錠」の添付文書には、シアリスなどのED治療薬(PDE5阻害薬)が併用禁忌として記載されています。
しかし、点眼薬側の添付文書には、PDE5阻害薬は併用禁忌として記載されていません。
併用禁忌に記載されていない理由は、点眼薬の1日のニプラジロール最大摂取量がハイパジールコーワ錠と比べて、ごく少量であるためと考えられます。
いずれにせよ、これらの点眼薬には血管拡張作用のある成分が含まれているので、相互作用を引き起こす可能性を考慮すると、併用は控えたほうがよいでしょう。
チトクロームP450 3A4阻害剤(グレープフルーツ含む)
肝臓に存在する酵素のチトクロームP450 3A4(CYP3A4)には、シアリスの有効成分タダラフィルを分解・代謝して適切に体外に排出する役割を果たします。
チトクロームP450 3A4阻害剤とは、そのCYP3A4の働きを阻害する薬剤の総称です。
「イミダゾール系抗真菌薬」「トリアゾール系抗真菌薬」「マクロライド系抗菌薬」「C型肝炎治療薬」「抗HIV薬(プロテアーゼ阻害薬)」などの薬剤に含まれる成分が該当し、シアリスと併用を注意すべきです。
つまり、チトクロームP450 3A4阻害剤とシアリスを併用すると、肝臓の代謝能力が低下し、タダラフィルの血中濃度が上昇して副作用が強く出る可能性があります。
そのため、シアリスの添付文書にはチトクロームP450 3A4阻害剤(ケトコナゾール・イトラコナゾール・リトナビル・ダルナビルなど)が併用注意薬として指定されています。
また、薬剤ではありませんが、「グレープフルーツ(フラノクマリン類)」もCYP3A4を含むため、シアリスとの併用には注意が必要です。
その他、チトクロームP450 3A4阻害剤を投与中の方は低用量のシアリス錠5mgから服用を開始し、シアリス錠10mgを超えて服用してはいけません。
シアリス錠10mgを連続で使用する場合は、服用間隔を48時間以上空けなければなりません。
チトクロームP450 3A4誘導剤
チトクロームP450 3A4誘導剤とは、CYP3A4の働きを誘導する薬剤の総称です。
「エンドセリン受容体拮抗薬」「結核・ハンセン病治療薬」「ヒダントイン系抗てんかん薬」「バルビツール酸系抗てんかん薬」などの薬剤に含まれる成分が該当します。
チトクロームP450 3A4誘導剤とシアリスを併用すると、肝臓の代謝能力が向上し過ぎてしまい、有効成分タダラフィルの血中濃度が低下して効き目が弱くなる可能性があります。
そのため、シアリスの添付文書にはチトクロームP450 3A4誘導剤(リファンピシン・フェニトイン・フェノバルビタールなど)が併用注意薬として指定されています。
降圧剤
降圧剤は、血圧を下げる作用によって高血圧を治療し、心血管疾患などを予防するために使用される薬剤です。
降圧剤には、血圧を下げる作用の仕組みによって、大きく5つのタイプに分けられます。
降剤のタイプ
カルシウム拮抗剤 | 血管に直接作用し、血管を拡張させて、血圧を下げる薬剤 |
---|---|
α遮断剤 | 自律神経に作用し、血管の収縮を抑えて 、血圧を下げる薬剤 |
β遮断剤 | 心臓に作用し、血流量を減らして、血圧を下げる薬剤 |
利尿剤 | 腎臓に作用し、尿量を増やして体内の血液量を減少させ、血圧を下げる薬剤 |
ACE阻害剤 (アンジオテンシン変換酵素阻害剤) |
血圧を上げる物質に作用し、こうした物質の産生を抑え、血圧を下げる薬剤 |
上記の降圧剤は、主に経口服用の飲み薬タイプで、シアリスと併用を注意すべき薬剤です。
降圧剤やシアリスは、どちらも血管拡張作用を持つため、併用すると作用が重複して過度の血圧低下を招き、「めまい」「失神」などの副作用を引き起こす可能性があります。
そのため、シアリスの添付文書には降圧剤(アムロジピン・メトプロロール・エナラプリル・カンデサルタンなど)が併用注意薬として指定されています。
カルペリチドを含む薬剤(心不全治療薬)
カルペリチドを含む薬剤は、急性心不全など虚血性心疾患の治療に使用される心不全治療薬です。
カルペリチドは、血管拡張作用や利尿作用をもたらします。
シアリスも血管拡張作用を持っているため、併用することで作用が二重に生じて過度な血圧低下を引き起こす可能性があります。
2025年7月時点で、カルペリチドを含む薬剤とシアリスの併用による相互作用に関しての臨床試験や基礎実験データはありませんが、シアリスの添付文書にはカルペリチドを含む薬剤が併用注意薬として指定されています。
カルペリチドを含む薬剤とシアリスを併用する際は、慎重に投与する必要があるため、シアリスの処方前に医師に相談しましょう。
抗生物質
前述のように、マクロライド系の抗生物質は、シアリスを代謝・分解するチトクロームP450 3A4(CYP3A4)の働きを阻害してしまうため、併用するとシアリスの副作用を強める恐れがあります。
マクロライド系抗生物質(一例)
- クラリスロマイシン
- エリスロマイシン
- ロキシスロマイシン
- アジスロマイシン
- ジョサマイシン
- スピラマイシン
その他の抗生物質も、場合によってはシアリスの働きに影響を与える可能性があるため、抗生物質と併用したい場合は事前に医師に相談しましょう。
睡眠薬
シアリスと睡眠薬の併用は、一般的には問題ないとされています。
しかし、睡眠薬は脳にリラックス効果を与える結果、血圧を低下させることがあります。
シアリスの血管拡張作用が同時に起きることで、思わぬ血圧低下を招く恐れがあるため注意しましょう。
なお、睡眠薬の種類によっては、その副作用によってEDを誘発する恐れがあります。
このように、薬剤の影響で生じるEDを「薬剤性ED」といいます。
薬剤性EDを引き起こす可能性のある睡眠薬の例
- アルプラゾラム
- クロルジアゼポキシド
- ジアゼパム
- ロラゼパム
薬剤性EDに該当する睡眠薬を服用している場合は、事前に医師に相談しましょう。


まとめ|シアリスの禁忌や併用注意に該当しそうな場合はあらかじめ医師に相談しよう
シアリスをはじめとしたED治療薬には、臓器関連の疾患がある方などの禁忌や、硝酸剤をはじめとした併用禁忌薬が存在します。
こうした身体との相性や飲み合わせを知っておかなければ、生命に関わる重大な事態になりかねません。
シアリスの処方を受ける際には、現在治療中の疾患の共有やおくすり手帳の提示を忘れずに行い、医師の指示を守るようにしましょう。