バイアグラの効果・効能・持続時間
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バイアグラの効果・効能
バイアグラはED(勃起不全)に効果・効能のある薬です。
「器質性ED」「心因性ED」「薬剤性ED」「混合性ED」のどれにも有効性が認められています。
バイアグラの有効成分「シルデナフィル」には、勃起を抑制する酵素PDE5(Phosphodiesterase type 5:ホスホジエステラーゼタイプ5)の働きを弱める(阻害)効果があります。
PDE5の働きを弱めることにより、勃起を促進し、継続させることができます。
個人差や食事の影響によりますが、バイアグラは服用後、約30分~1時間で体内に吸収され、性的刺激を受けた際に勃起が起こりやすくなる効果が現れます。
その後、個人差はありますが、約4時間~5時間効果が持続します。
また、用量によっても効果の持続時間は変動しますが、むやみに用量を増やせば持続時間が長くなったり、効き目が強くなるわけではないので注意しましょう。
例えば、海外製のバイアグラ錠100mgを服用しても持続時間が長くなるどころか、有効成分シルデナフィルの規定用量を超えてしまい、身体の吸収・代謝の効率が下がるので、正しい効果を得られなくなります。
バイアグラ錠25mgもバイアグラ錠50mgの場合も、個人差はありますが、約4時間~5時間効果が持続します。
規定用量内で同じ方が服用した際には、バイアグラ錠25mgよりもバイアグラ錠50mgの方が効果時間は延びる傾向にあります。
バイアグラの効果は、性的刺激を受け、性的興奮状態になった時に効果が発現します。
バイアグラを服用したからといって、効果が持続している間、強制的に勃起し続けるわけではありません。
性的興奮状態が収まれば、自然と勃起も収まります。
基本的には、「バイアグラを服用したらずっと勃起したままになる」ということはありませんので、ご安心ください。
効果の目安(服用後)
効き始め | 約30分後~ |
---|---|
効果のピーク | 約1時間後 |
効果の持続時間 | 約4時間~5時間 |
バイアグラの作用機序(仕組み)
男性は性的刺激を感じると、血管内にcGMP(Cyclic guanosine monophosphate:環状グアノシン―リン酸)という血管拡張物質が増加します。
このcGMPという物質は、陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させ、陰茎内の血管を拡げて血流を増加させる作用があるので、勃起が促されます。
それと同時に、常に陰茎が勃起した状態にならないよう、人間の体内には勃起を抑制する酵素、PDE5があります。
血管拡張物質のcGMPがPDE5という酵素によって分解されることで、勃起は終息されていきます。
ED患者のほとんどは、このPDE5が強く働きすぎているため、勃起ができなかったり、継続することができないのです。
バイアグラの有効成分であるシルデナフィルは、この勃起を抑制するPDE5という酵素の働きを阻害することができます。
PDE5の働きが弱まれば、cGMPが分解されることなく正常に働き、勃起が促されます。
この作用から、バイアグラなどのED治療薬は「PDE5阻害薬」とも言われています。
用量別の効果の強さ
バイアグラの世界的な規格は、1錠あたりに配合された有効成分シルデナフィルの量によって異なり、「バイアグラ錠25mg」「バイアグラ錠50mg」「バイアグラ錠100mg」の3種類があります。
日本国内における臨床試験では、EDの改善率に差が生じるのはバイアグラ錠50mgまでということが確認されています。
なので、日本国内では、安全性を考慮し「バイアグラ錠25mg」「バイアグラ錠50mg」の2種類が適度な効果を発揮する推奨規格として、厚生労働省から承認されています。
用量別に勃起機能の改善効果や服用に適した方などが違うので覚えておきましょう。
バイアグラ錠25mgの場合
ファイザー株式会社が実施した臨床試験でのバイアグラ錠25mgの有効性(勃起機能の改善率)は、58.3%で、10人中5人以上は効果を実感できています。
個人差はありますが、通常、バイアグラ錠25mgで5割以上の方に効果が期待できます。
当クリニックでは、高齢者の方(65歳以上の方)や健康状態が万全でない方など、状態を鑑みてバイアグラ錠25mgの処方を提案することがあります。
バイアグラ錠50mgの場合
ファイザー株式会社が実施した臨床試験でのバイアグラ錠50mgの有効性(勃起機能の改善率)は、72.4%で、10人中7人以上は効果を実感できています。
日本国内で推奨・承認されているバイアグラの規格の中で、最も強い効き目が得られるのはバイアグラ錠50mgです。
個人差はありますが、通常、バイアグラ錠50mgで7割以上の方に効果が期待できます。
バイアグラの服用は用法用量を守り、1回の服用は50mgまでにしましょう。
当クリニックでは、基本的には、健康状態に問題のない一般の成人男性の方にバイアグラ錠50mgの処方を提案することが多いです。
バイアグラ錠100mgの場合
ファイザー株式会社が実施した臨床試験でのバイアグラ錠100mgの有効性(勃起機能の改善率)は、72.3%で、10人中7人以上は効果を実感できていますが、バイアグラ錠50mgより0.1%有効性が低いことが分かっています。
また、有効成分シルデナフィルの血中濃度が適度な範囲を超えると、本来の勃起促進効果より副作用の「ほてり」「頭痛」といった症状が発現しやすくなるので、注意が必要です。
バイアグラが効き始める時間
バイアグラの効果は、有効成分シルデナフィルの血中濃度が一定の水準を超えることで発現します。
有効成分シルデナフィルが体内に吸収されるのは、服用から約30分~1時間のタイミングです。
なので、バイアグラは、服用から約30分~1時間で効果が発現し始めるということになります。
空腹時なら最短で、服用から約30分で効果を実感することができます。
バイアグラの用量の違いによって、効き始める時間に違いはさほどありません。
バイアグラ錠25mgとバイアグラ錠50mgで、「効き目の早さ」という点においては、大きな差異はありません。
また、バイアグラの錠剤を噛んで服用すると効き始める時間が早まると思っている方が稀にいらっしゃいます。
残念ながら錠剤を噛んで服用しても体内への有効成分シルデナフィルの吸収時間はさほど変わらず、効き始める時間もたいして変わりません。
バイアグラの錠剤は、噛むと苦味を感じる薬です。
苦い思いをしてまで服用するメリットはないので、噛む必要はありません。
バイアグラの効果持続時間(作用時間)
バイアグラの効果が持続する時間は、個人差はありますが、服用から約4時間~5時間です。
また、バイアグラの用量の違いによっても、効果の持続時間は若干異なりますが、バイアグラ錠25mg、バイアグラ錠50mgともに約4時間~5時間、効果が持続します。
効果が持続している間は、性的な刺激を与えると勃起が促進されます。
勃起を補助するために必要な血中濃度の水準が維持されている限り、射精後も効果持続時間内であれば勃起しやすい状態が続きます。
効果のピークは服用から約1時間後
バイアグラの効き目は、効果が持続している時間内で、常に一定というわけではありません。
服用してから約1時間で有効成分シルデナフィルの血中濃度が最大に高まり、ピークを迎え、バイアグラの明確な効果が発現します。
ピークに達した後、体内で有効成分シルデナフィルの分解が進み、バイアグラの効き目は、約3時間~4時間かけて次第に弱まっていきます。
服用から約3時間が過ぎる頃には、効き始めた頃の血中濃度を下回っていきます。
バイアグラの効果が得られない主な原因
バイアグラは、正しい知識と用法・用量を守って服用すれば十分に効果を発揮してくれるED治療薬です。
しかし、バイアグラを服用し、ED治療を開始したにもかかわらず、勃起促進効果が得られない、または得にくい場合があります。
バイアグラの効果が得られない、または得にくい原因は必ず存在しますので、下記の項目に該当していないか確認してみましょう。
主な原因
- 不十分な性的刺激
- 食事内容
- お酒(アルコール)
- 間違った服用タイミング
- 間違った用法・用量
- 神経障害
- 血管機能の低下
- 疲労・ストレス
- バイアグラの副作用
- バイアグラ(シルデナフィル)と身体の相性
- バイアグラの偽物・偽造品
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不十分な性的刺激が原因
バイアグラなどのED治療薬を服用すれば自然に性欲が高まり、勃起すると勘違いしている方が多々おります。
バイアグラは、媚薬や精力剤(強壮剤)の様な催淫作用(性的興奮作用)や性欲増進作用があるわけではなく、服用しただけでは効果は得られません。
性欲を高め、性的刺激があって初めて勃起促進効果が発現します。
性的刺激は、性的な想像や空想、視覚的な性刺激だけでは不十分な場合が多く、陰茎への直接刺激が重要です。
バイアグラの効果を得られなかった場合、性的刺激不足をまずは疑ってみましょう。
陰茎へ直接、性的刺激を与えると効果が得られる可能性があります。
食事内容が原因
バイアグラは、食事の影響を強く受けるED治療薬です。
食後すぐにバイアグラを服用してしまうと効果を得られない、または得にくい場合があるので注意しましょう。
有効成分シルデナフィルの効果が最大限に引き出される理想的なタイミングは空腹時です。
食事後のバイアグラ服用が避けられない場合は、バイアグラの効果を正確に得るために、服用の2時間以上前までに食事を済ませておきましょう。
そして、食事の内容にも注意が必要です。
焼肉や中華料理などの油っこい食べ物や牛乳などの脂肪分を多く含む飲み物はできるだけ控えたほうが良いでしょう。
フィルムコーティング錠であるバイアグラは、胃で溶けだした後、腸から有効成分シルデナフィルが吸収され、血中に取り込まれます。
食事によって、胃や腸に油などの膜が張ると有効成分シルデナフィルの吸収がされにくくなり、空腹時に服用するのと比べ、効果の発現が遅れたり、効果を得られなくなってしまいます。
なるべく脂肪分の少ないサラダやそばなどのさっぱりした食事を選択しましょう。
どうしても食事が避けられない場合は、食事前にバイアグラを服用しておきましょう。
バイアグラの服用から約30分経ってからであれば、有効成分シルデナフィルが血中へと吸収された後になるので、その後の食事では何を食べても問題ありません。
お酒(アルコール)が原因
お酒の飲みすぎには注意しましょう。
アルコールの多量摂取は、神経伝達機能を低下させることがあります。
神経伝達機能が正しく働かなくなると、性的な刺激が神経を通して陰茎に伝わりにくくなり、バイアグラを服用していたとしても勃起や射精するのが困難になります。
ED患者ではない方でも勃起や射精するのが困難になるので、バイアグラを服用する場合は、適量の飲酒に留めておきましょう。
間違った服用タイミングが原因
バイアグラは、性行為の約1時間前に服用するのが適切なタイミングです。
バイアグラの効果が現れるのは、服用から約30分~1時間で、ピークに達するのが服用から約1時間だからです。
性行為直前に服用しても効果は発現しないので、服用後、約30分~1時間は効果が現れるのを待ちましょう。
また、効果持続時間(作用時間)を過ぎると勃起促進効果は発現しないので、バイアグラの効果持続時間内かどうかのタイミングも確認しましょう。
間違った用法・用量が原因
バイアグラを医師から指導されていない用量で勝手に変えて服用すると効果が得られない、または得にくい場合があります。
バイアグラの服用用量はバイアグラ錠25mgからです。
バイアグラ錠25mgを分割などして服用した場合は、効果が発揮できる用量を下回り、効果が得られない、または得にくい場合があります。
逆に、バイアグラ錠50mgより多い用量で服用した場合は、効果より副作用の方が強く現れてしまい、本来の効果が得られない、または得にくい場合があります。
医師の指導の下、指示された用量で服用する必要があります。
また、バイアグラの服用は1日に1回まで、服用後は24時間以上の間隔を空けなければなりません。
1日(24時間以内)に複数回バイアグラを服用すると正しい効果が得られない、または得にくい場合があります。
効果が得られないと感じた場合は、用法や用量を守って服用しているか確認してみましょう。
神経障害が原因
陰茎や陰茎に繋がる神経などに何らかの障害がある方は、バイアグラを服用しても効果が得られない、または得にくい場合があります。
前立腺癌などにかかり、手術を行われた方は手術の際に勃起神経が損傷、または切断されることで重度の器質性EDになる場合があります。
手術や不慮の事故などで陰茎に繋がる神経が損傷し、重度の器質性EDになってしまった方は、バイアグラを服用しても勃起できない可能性があります。
中には、老化や原因不明の神経障害で、対処が難しい場合もあります。
神経に関わる障害や疾患に心当たりがある場合は、医師に相談してください。
血管機能の低下が原因
血管機能が低下すると血流量が増加しにくくなります。
バイアグラは、血管を拡げて血流量を増加し、勃起を起こさせる薬ですが、血管の拡張機能自体が低下してしまうと陰茎に十分な血液が送られなくなるため、バイアグラを服用しても効果を得られない、または得にくい場合があります。
例えば、動脈硬化などの疾患を抱えている場合は、血管の拡張機能が低下してしまいます。
糖尿病や高血圧による動脈硬化などが要因でEDになる器質性EDに該当する場合は、原因の疾病を治療しなければ解決できません。
血管機能を正常に保つためには、お酒やたばこを控え、食生活や生活習慣の乱れを見直すことが大切です。
栄養バランスの良い食事の摂取や適度な運動をして、日頃から健康な身体作りを意識しましょう。
疲労・ストレスが原因
単純に仕事やプライベートなどで疲れがたまっていたり、ストレスや悩みを抱えていたりすると性的な興奮がしづらく、バイアグラを服用しても効果が現れにくくなる場合があります。
心理的なストレスや悩みなどが要因でEDになる心因性EDに該当する場合は、そのストレスや悩みの原因となっている問題を解決する必要があります。
バイアグラの副作用が原因
バイアグラの副作用「ほてり」「頭痛」「動悸」などが強く現れ、気になり、性的興奮や性的刺激が抑制されて効果が現れにくくなる場合があります。
副作用が気になる場合は、用量を減らしたり、バイアグラ以外のED治療薬を試してみると良いかもしれません。
また、有効成分が同じでも副作用の出方に違いが生じる場合があるので、バイアグラジェネリックを試してみるのも良いでしょう。
バイアグラ(シルデナフィル)と体の相性が原因
バイアグラの有効成分シルデナフィルと身体の相性が悪いのが原因かもしれません。
バイアグラに限らず薬剤の相性は、服用する方の体質やライフスタイルによって異なる場合があります。
バイアグラの効果が得られない、または得にくい場合は、バイアグラ以外のED治療薬を試してみると良いかもしれません。
また、有効成分が同じでも効き方に違いが生じる場合があるので、バイアグラジェネリックを試してみるのも良いでしょう。
バイアグラの偽物・偽造品が原因
海外製のバイアグラを通販サイトなどで個人輸入を介して購入した場合は、偽物・偽造品の可能性があります。
2016年に日本国内でED治療薬を製造・販売している下記の医薬品メーカー4社は合同で、「インターネットで入手したED治療薬の約4割が偽造品」であるとの調査結果を発表しています。
- ファイザー株式会社
- バイエル薬品株式会社
- 日本新薬株式会社
- 日本イーライリリー株式会社
ネットで購入したバイアグラなどのED治療薬は健康被害のリスクが高いことを危惧しています。
バイアグラの偽物・偽造品であれば、勃起促進効果が得らないのは当然でしょう。
海外製のバイアグラなどのED治療薬を個人輸入で購入して、使用するのは注意が必要です。
バイアグラの効果を最大限引き出す方法
バイアグラの最大限の効果を得たい場合は、ポイントをきちんと把握して使用することが大切です。
効果を最大限引き出す方法
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空腹時に服用する
食事によってバイアグラの有効成分シルデナフィルの体内への吸収が阻害され、効果が弱まったり、発現まで時間がかかったりしてしまう可能性があります。
バイアグラの効果を最大限引き出したいなら空腹時に服用するのが鉄則です。
性行為の約1時間前に服用する
バイアグラの効果がピークに達するのは服用から約1時間後です。
「勃起から挿入に至るまでの時間」を「服用から約1時間後」にできればバイアグラの効果を最大限引き出せるでしょう。
性行為は人間同士のコミュニケーションの一つでもあるので、勃起から挿入に至るまでの時間を正確に調整するのは難しいかもしれません。
それでも、バイアグラの効果を最大限引き出したいなら服用後から性行為までの時間調整をおすすめします。
用法・用量を守って服用する
服用は1日1回まで、24時間以上の服用間隔を空けましょう。
1回の有効成分シルデナフィルの用量は25mg~50mgまでを守りましょう。
服用後すぐに効果は発現しないので、性行為の約1時間前に必ず経口服用しましょう。
基本的なことですが、バイアグラの効果を最大限に引き出すには、用法・用量を守ることも重要です。
用法・用量を守らず、乱用すると、効果が正しく発揮されなくなるだけではなく、思わぬ副作用を引き起こす可能性もあるので危険です。
水、またはぬるま湯で服用する
バイアグラの効果を最大限引き出したいなら水、またはぬるま湯のどちらかで服用することをおすすめします。
水、またはぬるま湯を使用せずに錠剤のまま服用すると食道などに引っかかってしまい、有効成分シルデナフィルを消化・吸収するまでに時間がかかってしまう可能性があります。
効果が発揮される時間が遅れる原因になるので、水、またはぬるま湯と一緒に服用するようにしましょう。
お茶やジュースでも問題ないとは言われていますが、水分に不純物が入っていないほうがより有効成分シルデナフィルが溶けだしやすく、効果を引き出しやすくなります。
また、飲み合わせると危険な飲み物(グレープフルーツジュースなど)もあるので、やはり水、またはぬるま湯と一緒に飲むのが無難でしょう。
身体的・精神的コンディションが良い時に服用する
性行為は、体調が万全な時に行うようにしましょう。
バイアグラを服用することで、血管の拡張が促されるので、多少なり身体的に負担がかかります。
体調が万全な状態でなければ、せっかくの効果が台無しになってしまいます。
また、性行為に前向きになれない場合や気分が優れないなと感じた場合も服用は控えましょう。
身体的なコンディションだけではなく、精神的なコンディションが整っているかも重要です。
バイアグラのED治療以外の効果
バイアグラ(有効成分シルデナフィル)には、ED治療以外にも有用な効果があります。
また、ED治療以外に期待されている効果もあります。
肺動脈性肺高血圧症(PAH)の治療薬として使用
バイアグラの有効成分シルデナフィルは、PAH(Pulmonary Arterial Hypertension:肺動脈性肺高血圧症)の治療薬にも使用されています。
2008年4月、ファイザー株式会社からPAH治療薬として、商品名「レバチオ錠20mg」が販売されています。
PAHは、心臓から肺へ血液を送る血管(肺動脈)の血圧が高くなってしまう生命にかかわる重篤な血管病で、患者数は世界中で約10万人以上(日本の患者数は約3,700人以上)いると推定されています。
有効な治療方法は研究中なため、治療せずに放置すると平均生存期間は、診断から3年以下という、原因不明の難治性呼吸器疾患(指定難病)に認定されている病気です。
このような難病の進行を抑えることが期待できる薬として、レバチオは、希少疾病用医薬品に指定されています。
レバチオは、血管平滑筋におけるcGMPの分解酵素(PDE5)を阻害することで、血管を弛緩・拡張させ、肺動脈圧や肺血管抵抗などを緩和することができます。
要約すると、肺の血管を拡張し、酸素を取り込み、運搬する量を増やすことにより、呼吸を楽にする効果が認められているということです。
また、2017年9月27日に小児に対する用法・用量の追加が承認され、2018年1月29日には「レバチオODフィルム20mg」「レバチオ懸濁用ドライシロップ900mg」が発売されています。
小児から成人までのPAH患者が使いやすいよう、ニーズに合わせて剤型を用意しているようです。
早漏(PE)の改善に効果的
PE(Premature Ejaculation:早漏)とは、膣内射精潜時(膣内にペニスを挿入してから射精までの時間)が短く、射精のコントロールができないことで本人やパートナーが精神的な苦痛を感じることを指します。
「膣内にペニスを挿入してから射精までの時間の短かさ」を単純な時間で定義するのは難しいですが、一般的に挿入後、約1分~2分以内に射精してしまうことを指します。
ED患者の多くは早漏にも悩んでる場合が多く、ED患者の3分の1が早漏と合併しているとも言われています。
バイアグラなどのED治療薬自体に早漏を改善するという明確な効果はありません。
しかし、バイアグラを服用することで陰茎が硬くなり、陰茎の感度が低下することで射精がしづらくなった結果、早漏改善効果が期待できるということはあります。
また、男性器というのは心因性EDがあるくらい精神的なものに影響を大きく受けます。
バイアグラでEDが改善できたことで、性行為に自信が持て、併発していた早漏に関しての精神的要因も払拭されることで早漏が改善される場合もあります。
バイアグラで早漏を直接的に改善する効果があるとは言えませんが、改善には効果的なので期待はしても良いでしょう。
遅漏(DE)は改善できない
ただし、バイアグラで遅漏は改善できないので注意しましょう。
DE(Delayed ejaculation:遅漏)とは、早漏の逆で、射精が自分の意思に反して時間がかかったり、射精そのものができない症状です。
遅漏にこれといった治療方法や特効薬は存在せず、地道な原因を探っていくところから始めなければなりません。
運動能力向上の可能性(スポーツへの効果)
バイアグラなどのED治療薬は、血管の拡張作用があるため、服用すると全身の血流が良くなり、呼吸によって酸素を取り込み、運搬する能力が高まります。
つまり、有酸素運動などの運動能力が向上する可能性があるということです。
もちろん、性行為も有酸素運動の一種であり、バイアグラの服用によって、いつもより息切れしないで頑張れることがあるかもしれません。
それどころか、マラソンなどの有酸素運動では、自己ベストタイムを狙える可能性があります。
2008年には、北京五輪を目前に控え、スポーツにおいて公平性が崩れる可能性があるとして、WADA(World Anti-Doping Agency:世界反ドーピング機関)により調査が行われたこともあります。
ドーピング薬剤として、シルデナフィルを対象に加えようという動きがありましたが、結局ドーピング薬剤の対象にはなりませんでした(将来どうなるかわかりませんが・・・)。
バイアグラを服用すれば、高地であっても海抜ゼロメートル地帯と同様のパフォーマンスが実現できると言われています。
スポーツの大会開催地によっては、標高の高い地域で行われる場合もあり、そうした際にバイアグラが有利に働く可能性があります。
登山などにおいても、酸素量の少ない高地で酸素取り込み効果の向上が期待できるでしょう。
実際に、イギリス軍では、バイアグラを高山病の予防や治療用に使用していたり、イスラエル軍では、パイロットにバイアグラを与え、低酸素下での操作能力向上を図ったこともあるそうです。
長時間にわたる低酸素環境下においても、バイアグラは有効なのかもしれません。
また、大気汚染によって大気中の酸素濃度が低く、通常のパフォーマンスを発揮しづらい劣悪な環境においても、バイアグラによって運動能力が向上することもあるようです。
つまり、大気汚染の深刻な地域でバイアグラを服用すれば、一人だけキレイな空気の中で運動しているような状態になれるということです。
北京五輪を目前に控え、シルデナフィルがWADAによって調査が行われた背景には、当時の北京の大気汚染が深刻だったことも関係していたようです。
妊活・不妊治療の選択肢になる
バイアグラなどのED治療薬は、妊活や不妊治療の選択肢になります。
バイアグラで妊活や不妊治療の悩みを解決し、子作りに貢献できるかもしれません。
バイアグラの妊活・不妊治療におけるメリット
- 性行為の回数を増やせる
- 排卵日のタイミングに対応できる
- 子作りへの不安やプレッシャーを緩和できる
- 精子や妊娠、子供に影響はない
- 治療費を抑えられる
- etc...
患者様から「仕事で忙しくて時間も取りずらく、疲れている状態でパートナーの排卵日にあわせて性行為を試みることがある」というお話をよく聞きます。
このような状態で性行為を試みると、男性にとってストレスやプレッシャーがかかり、子作りに対して限定的な心因性EDになってしまうことがあります。
強引ではありますが、バイアグラを服用することで勃起は促されるので、性行為の回数を増やすことができ、排卵日のタイミングに合わせることができます。
子作りへの不安やプレッシャーなどが原因で心因性EDになってしまっても、限られた妊娠のタイミングを逃さないため、バイアグラを使用することで性行為をスムーズに行えます。
また、バイアグラの服用によって、精子や妊娠過程、生まれてくる子供などへの悪影響はありません。
不妊治療の費用は治療段階で変動しますが、不妊治療の中でも高額となる高度不妊治療(体外受精・顕微授精など)の治療費の平均は100万円以上とも言われています。
バイアグラなどのED治療薬で不妊治療ができるなら、治療費を抑えることができるでしょう。
なお、2022年4月より不妊治療を目的として、バイアグラは保険適用となりました。
保険適用には7つの条件をすべて満たす必要がありますが、保険診療でバイアグラの処方が受けられます。
バイアグラの効果でよくある誤解
バイアグラが発売してから20年以上も経っているにも関わらず、その効果について様々な誤解をしている方が多くいます。
バイアグラの効果を間違って認識していないか、今一度確認してみましょう。
催淫作用・性欲増進の効果はない
バイアグラには、媚薬や精力剤(強壮剤)の様な催淫作用(性的興奮作用)や性欲増進作用はありません。
なので、バイアグラを服用しても、意識しない限り、性的な気分や性的興奮状態になることはありません。
意識とは無関係に強制的な勃起状態になったり、それが何時間も萎えずに継続することもありません。
もちろん、バイアグラが効いている間に性的な想像をしたり、性的刺激を与えれば、陰茎の勃起が促されます。
「服用すると性的興奮状態になり、勃起し続ける」のではなく、「服用して性的刺激があると勃起が促される」が正しい効果です。
バイアグラが媚薬や精力剤のような効果があると誤解してしまうのは、男性機能の改善により、自信を取り戻した結果、性欲や性的興奮が高まるからだと思われます。
また、バイアグラの効果によって、血圧や心拍数が変動するので、勃起促進効果の実感とともに、性的興奮していると勘違いしてしまうことも考えられます。
性感染症(STD)の予防効果はない
バイアグラを服用してもSTD(Sexually Transmitted Diseases:性感染症)を予防することはできません。
性感染症とは、「性行為で感染する病気」の総称です。
梅毒や性器クラミジア感染症、HIV感染症などの病気が性感染症と呼ばれます。
ヴィアトリス製薬株式会社によるバイアグラの添付文書にも、下記の様に明記されています。
本剤には性行為感染症を防ぐ効果はない。
性感染症を予防したいなら、コンドームなどの性感染症予防器具を適切に使用しましょう。
バイアグラの女性への効果
バイアグラは、男性向けに製造・販売されているED治療薬なので、陰茎の無い女性には効果がないとされています。
しかし、女性でもバイアグラなどのED治療薬によって血流が改善されることで、膣やクリトリスなどの女性器の神経が敏感になり、性的感度が上昇する可能性が指摘されています。
ファイザー株式会社が行った臨床実験の調査によると、バイアグラの服用によって女性器が濡れやすくなったり、オーガズムに達しやすくなったという効果が見られたそうです。
ただし、未だに医学的根拠はなく、可能性が期待されている段階です。
女性に多い性機能障害のHSDD(Hypoactive sexual desire disorder:性的欲求低下障害)や不感症を改善する目的の医薬品を「女性用バイアグラ」と呼ぶこともあります。
性的欲求低下障害とは、性行為に対する興味や欲求が低下・欠如・不足してしまう病気です。
薬の副作用など特定の要因なく、性的な興味や性的欲求に問題がなかった方でも発症することがあります。
女性用バイアグラは、日本国内では、厚生労働省が未承認の医薬品ばかりなので、一般的な病院や薬局では入手できません。
手に入れるためには、海外から通販サイトなどで個人輸入して購入するしかありません。
医薬品を海外から個人輸入すると、健康被害のリスクに繋がるので、興味本位に手を出さないようにしましょう。
女性用バイアグラ「Womenra(ウーメラ)」
海外には、バイアグラと同じ有効成分シルデナフィルが含まれた、女性用バイアグラ「Womenra(ウーメラ)」という医薬品があります。
ウーメラは、女性用の不感症治療薬として、シラー・バイオテクノロジーズ社(Scilla Biotech)が製造・販売しています。
日本国内では、厚生労働省未承認の医薬品のため、販売されていません。
ウーメラを服用すると性的欲求を高める効果が期待できるので、下記のような方におすすめできるとしています。
- 性的感度を上昇させたい方
- 不感症で性行為に積極的になれない方
- 膣の潤い不足で性交痛を感じる方
医薬品情報
商品名 | Womenra(ウーメラ) |
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製造販売元 | シラー・バイオテクノロジーズ社(Scilla Biotech) |
有効成分 | シルデナフィル(Sildenafil) |
※当クリニックでは、「Womenra(ウーメラ)」は取り扱っていません
女性用バイアグラ「Lovegra(ラブグラ)」
他にも、複数の海外医薬品メーカーによってシルデナフィルを含んだ女性用バイアグラの製造・販売がされているようです。
アジャンタ・ファーマ社(Ajanta Pharma)からは「Lovegra(ラブグラ)」という商品名で製造・販売されています。
ラブグラもウーメラ同様、日本国内では、厚生労働省未承認の医薬品なため、販売されていません。
医薬品情報
商品名 | Lovegra(ラブグラ) |
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製造販売元 | アジャンタ・ファーマ社(Ajanta Pharma) |
有効成分 | シルデナフィル(Sildenafil) |
※当クリニックでは、「Lovegra(ラブグラ)」は取り扱っていません
女性用バイアグラと呼ばれる「Difulcan(ジフルカン/ダイフルカン)」
ウーメラやラブグラ以外にも女性用バイアグラと呼ばれる医薬品が存在します。
それが、ファイザー株式会社が製造・販売している「Difulcan(ジフルカン/ダイフルカン)」という薬です。
ジフルカンにバイアグラの有効成分であるシルデナフィルは含まれていませんが、女性用バイアグラと呼ばれる理由があります。
元々ジフルカンは、カンジダ(性器カンジダ症)による膣炎や深在性真菌症の治療薬(抗真菌薬)として使用されています。
しかし、ジフルカンの有効成分フルコナゾールには、膣分泌液を増やす(濡れる)作用が期待できることがわかったのです。
ジフルカンは、女性器内を雑菌から守るため、pH値を正常にする作用が期待できます。
それにより、女性器を清潔にするために膣分泌液の量が増加するのです。
膣分泌液が減少すると潤滑性がなくなり、こすれて炎症を起こし、性交痛を招きます。
ジフルカンの効果で膣分泌液が増え、女性がスムーズな性行為ができるようになったため、性交痛などの苦痛が改善され、女性用バイアグラと呼ばれるようになりました。
医薬品情報
商品名 | Difulcan(ジフルカン/ダイフルカン) |
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製造販売元 | ファイザー株式会社(Pfizer) |
有効成分 | フルコナゾール(Fluconazole) |
※当クリニックでは、「Difulcan(ジフルカン/ダイフルカン)」は取り扱っていません
女性用バイアグラと呼ばれる「Addyi(アディー)」
「Addyi(アディー)」は、アメリカで初めて承認された、性的欲求低下障害(HSDD)治療薬です。
有効成分としてフリバンセリンが含まれています。
抗うつ剤としての治験中に性欲改善が見られたことから、性的欲求低下障害治療薬として開発が進められ、販売に至りました。
Addyiも女性用バイアグラと呼ばれていますが、評判は良くありません。
効果の割に、扱いづらさや副作用のデメリットが多いからです。
バイアグラの有効成分シルデナフィルと違い、Addyiの有効成分フリバンセリンには即効性はなく、毎日定期的に服用しなければ効果を得られません。
また、服用開始から効果を実感するのに数ヶ月もかかります。
一般的な副作用として、「めまい」「眠気」「吐き気」「倦怠感」があり、重度の低血圧や失神を引き起こす重篤な副作用も認められています。
アルコールと併用したり、肝機能障害の方が服用すると重篤な副作用のリスクが高まるという報告もあります。
アメリカでは、処方をする医師は特別な研修を受ける必要があり、患者の同意書まで必要な薬です。
食品や医薬品などの承認や取り締まりを行う政府機関、FDA(Food and Drug Administration:アメリカ食品医薬品局)は、「効果が低い割に副作用のリスクが高い」ということを理由に2013年に1度、認可を却下しています。
(その後、2015年に条件付きで承認されています。)
日本国内では、厚生労働省未承認の医薬品なため、販売されていません。
Addyiは、取り扱いづらさや副作用のリスクの面からみて、これから先も日本国内で承認され販売されることはないでしょう。
副作用のリスクが大きいので、海外から個人輸入で入手したり、服用したりすることは絶対におすすめできません。
医薬品情報
商品名 | Addyi(アディー) |
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製造販売元 | スプラウト・ファーマシューティカル社(Sprout Pharmaceuticals) |
有効成分 | フリバンセリン(Flibanserin) |
※当クリニックでは、「Addyi(アディー)」は取り扱っていません
性的欲求低下障害(HSDD)治療薬「Vyleesi(バイリーサイ/バイレッシ)」
2019年6月に「Vyleesi(バイリーサイ/バイレッシ)」という性的欲求低下障害(HSDD)治療薬がFDAによって承認され販売されました。
有効成分としてブレメラノチドが含まれています。
開発はアメリカのパラティン・テクノロジーズ社(Palatin Technologies)で、販売はアメリカのAMAGファーマシューティカルズ社(Amag Pharmaceuticals)です。
Vyleesiは、バイアグラの様に性行為前に経口服用する錠剤タイプのものではありません。
性行為前に専用の注射器で腹部か大腿部に自己投与するタイプです。
Addyiの様な性的欲求低下障害治療薬が女性用バイアグラと呼ばれているように、今後、Vyleesiが広く認知されるようになれば「注射タイプの女性用バイアグラ」と呼ばれる日が来るかもしれません。
日本国内では、厚生労働省未承認の医薬品なため、販売されていません。
今後、承認されるかは未定となっています(恐らく、承認されることはないでしょう)。
医薬品情報
商品名 | Vyleesi(バイリーサイ/バイレッシ) |
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製造販売元 | AMAGファーマシューティカルズ社(Amag Pharmaceuticals) |
有効成分 | ブレメラノチド(Bremelanotide) |
※当クリニックでは、「Vyleesi(バイリーサイ/バイレッシ)」は取り扱っていません
参考URL
- 偽造ED治療薬4社合同調査結果 | 日本新薬株式会社
- バイアグラの添付文書 | ヴィアトリス製薬株式会社(旧ファイザー株式会社アップジョン事業部門)
- バイアグラの医薬品インタビューフォーム | ヴィアトリス製薬株式会社(旧ファイザー株式会社アップジョン事業部門)