勃起の仕組み(メカニズム)
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勃起とは?
男性の陰茎(ペニス)が性的興奮や性的刺激で大きく硬くなる現象を勃起(ぼっき)といいます。
また、無意識的に勃起することもあります。
勃起は、乳幼児期からみられる現象で、おむつを替える際や入浴などの際に乳幼児の陰茎が勃起することがあります。
乳幼児の勃起は、手が触れたり、着衣を脱ぐ際に擦れたり、冷たい空気に触れるなどの物理的刺激に対する反射によって起ります。
大人になっても、そういった物理的刺激に対して反射的に勃起してしまうことがあります。
これが、無意識的な勃起に繋がります。
通常、陰茎は柔軟な状態で男性の股間からぶら下がっています。
勃起状態になると、「太く」「長く」「硬く」なり、前方上向きに突き出ることで、性行為の際に女性器に挿入することが可能となります。
本来、勃起とは、陰茎を女性器の膣に挿入し、妊娠や出産を目的とした、子孫を残す生殖行為のために必要な生理現象です。
しかし、異性間や同性間において、コミュニケーション、または性的快感を得るための性行為などに必要な現象でもあります。
ちなみに、日本人の勃起時の陰茎の長さは、統計学的な平均値としては約13cmとされています。
勃起の仕組み(メカニズム)
どのように勃起が起き、そして終わるのか、そのメカニズムを解説します。
通常、陰茎の状態は、陰茎深動脈とラセン動脈から陰茎海綿体に血液が流れ込み、同じ量の血液が静脈を通って体内へ戻っています。
そのため、陰茎は硬くならず、柔らかいままの状態でいられるのです。
勃起が起こる際、男性は、性的興奮や性的刺激を感じると、脳が勃起神経を通して陰茎に勃起命令を出します。
すると、陰茎海綿体の血管内皮細胞の活動が活発になり、NO(Nitric oxide:一酸化窒素)が産生され、平滑筋内で拡散されます。
そして、NOは、可溶性グアニル酸シクラーゼと呼ばれる酵素を活性化させ、血管内にcGMP(Cyclic guanosine monophosphate:環状グアノシン一リン酸)という血管拡張物質を増加させます。
このcGMPという物質によって、陰茎海綿体の平滑筋が弛緩し、陰茎深動脈の血管が拡がるので、血流が増加し、勃起が促されます。
血液がどんどん海綿体に流れ込んでいくと、スポンジ状の海綿体が拡張し、白膜という硬い膜も広がります。
柔らかい静脈は拡張した海綿体と硬い薄膜に挟まれ、圧迫されて収縮し、静脈から血が出て行かなくなります。
こうして血液が陰茎海綿体内にどんどん溜まっていくことで、最終的に勃起状態となるのです。
つまり勃起とは、陰茎海綿体の平滑筋の収縮や弛緩の現象によるもので、血管内で起こっている血液循環の変化を見ていることと同じと考えても良いのです。
勃起は、射精後、または性的興奮が治まった後に終わりへ向かいます。
常に陰茎が勃起した状態にならないよう、人間の体内には勃起を抑制する酵素、PDE5(phosphodiesterase 5:ホスホジエステラーゼ5)があります。
血管拡張物質のcGMPがPDE5という酵素によって分解されることで、勃起は終息されていきます。
性的興奮がおさまり、PDE5によってcGMPが分解され、減少していくと、cGMPによって広がっていた血管が再び収縮しはじめ、充満していた陰茎海綿体の血液が体内に戻っていきます。
血液が陰茎海綿体から一定量抜け出すと、陰茎が柔らかくなり、通常状態になります。
勃起までの流れ
性的興奮や性的刺激は、「視覚」「聴覚」「嗅覚」「触覚」「味覚」の5感すべてで受けます。
5感で受けた性的興奮や性的刺激の情報は、脳に伝えられます。
性的興奮や性的刺激を受けた脳は、性欲が高まります。
脳は、性欲の反応として勃起命令を出します。
脳からの勃起命令は、「脳→脊髄→勃起神経→陰茎」の順に伝わります。
つまり、「脳と陰茎」は「脊髄と勃起神経」でつながっていると言えるのです。
陰茎が脳からの勃起命令を受け取ると、陰茎付近にある平滑筋という筋肉が緩みます。
陰茎は海綿体という、スポンジ状の器官でできています。
ビニールで包んだスポンジに水が溜まると大きく硬くなるように、海綿体に血液が溜まると大きく硬くなります。
非勃起状態のとき、陰茎海綿体につながる血管は、平滑筋などによって縮まった状態にあるので、陰茎には血液がほとんど流れません。
脳から勃起神経に勃起の命令が伝わると、平滑筋が緩んだりして血管が広がり、大量の血液が陰茎海綿体に流入し、陰茎はパンパンに膨らんだ状態になります。
これが「勃起」にいたるまでの流れです。
勃起が正常に起こるためには、性的興奮や性的刺激を脳から陰茎へと届ける神経、NOの産生、可溶性グアニル酸シクラーゼの活性化、cGMPの増加、平滑筋と陰茎動脈の弛緩、静脈の圧迫など、さまざまな働きがシステマティックにおこなわれる必要があります。
この①~④の段階のどこかで問題が発生した場合は、十分な勃起が得られなくなり、EDのリスクが高まります
夜間勃起現象(朝立ち)とは?
朝立ち(朝勃ち)とは、医学用語では夜間勃起現象や夜間睡眠時勃起現象 (nocturnal penile tumescence: NPT) と言います。
厳密には、朝立ちと夜間勃起現象は意味合いが異なります。
朝立ちや夜間勃起現象は、性的興奮をしているわけでも、性的刺激を受けているわけでもないのに、無意識的に勃起してしまう現象です。
通常、人は睡眠時に浅い眠りのレム睡眠と深い眠りのノンレム睡眠を繰り返しています。
睡眠中は、約90分ごとにレム睡眠とノンレム睡眠が入れ替わります。
レム睡眠は、夢を見やすい睡眠と言われており、このレム睡眠中に勃起することがあります。
レム睡眠中は、身体は休んでいても、脳は働いている状態です。
そのため、レム睡眠中は呼吸、脈拍、血圧などが高くなり、その流れで勃起することがあるのです。
これが夜間勃起現象(夜間睡眠時勃起現象)です。
朝立ちも同様のメカニズムで起こっていると考えられます。
人は、レム睡眠が朝方になるにつれ、だんだん延長していくので、レム睡眠から起床する事が多いとされています。
そして、目覚める直前までに勃起が認められたとき、朝立ちとなります。
したがって、朝立ちは夜間勃起現象の一部と考えられています。
しかし、毎朝必ず朝立ちが起こるわけではないので、朝立ちがなくても過度に心配しないでください。
基本的に、ノンレム睡眠から起床した場合は、朝立ちは認められないと言われていますが、高齢になるとノンレム睡眠中に勃起することもあります。
また、睡眠中に性的な夢を見て、夜間勃起現象と重なると夢精(夜間遺精)してしまうことがあります。
夢精とは、睡眠中に性的な夢を見ることなどにより、射精をすることで、思春期を迎えた男性に多く見られる生理現象の一つです。
なんらかの病的な原因で夢精しない限りは、特に治療は必要ありません。
勃起は男性の健康バロメーター
勃起は男性の健康状態を知る上で重要なバロメーターと言えます。
なぜなら、神経や血管などが健康でないと勃起が成立しないからです。
ED(勃起不全)は、神経や血管などの病気です。
動脈硬化などにより、血管が詰まってしまうため、勃起ができなくなってしまうことがあります。
また、糖尿病などにより神経の障害が起こり、EDになってしまうこともあります。
他にも、精神的なストレスを抱えている場合も神経の伝達機能がうまく働かず、勃起できないこともあります。
そのため、気持ちよく勃起できる状態というのは、神経、血管、精神(メンタル)すべて快調であり、健康である証拠と言えるのです。
逆に、勃起ができなくなると、EDが疑われ、神経、血管、精神(メンタル)のいずれか、またはすべてが不調なのかもしれません。
勃起の硬さと勃起角度は比例する
女性と性行為をする場合は、女性器(膣や子宮口など)との角度の関係上、勃起時の陰茎は、水平より上向きになっている方が都合が良いとされています。
勃起の角度はとても重要で、陰茎が上向きに反っていれば女性器の性感帯を刺激しやすくなります。
また、亀頭部分が膣の前壁部分に当たり、下向きへ誘導させられやすくなるため、刺激が強まりやすく勃起を長引かせることができます。
しかし、加齢によって勃起力が徐々に失われるため、勃起の角度は年齢によって下がっていきます。
年齢ごとに平均的な勃起角度を簡単に知る方法があります。
薬指の小指側の側面を地面と水平の向きにしながら、手の平をいっぱいに開きます。
薬指を基準に、親指の角度が10代、人差し指の角度が20代、中指の角度が30代といった具合に、年齢によって勃起の角度は下がっていくのです。
勃起力=勃起の硬さとするなら、勃起の硬さは勃起角度に比例すると言えるでしょう。
ED治療薬が効く仕組み(メカニズム)
男性は性的刺激を感じると、血管内に血管拡張物質であるcGMPが増加します。
このcGMPという物質は、陰茎海綿体の平滑筋を弛緩させ、陰茎内の血管を拡げて血流を増加させる作用があるので、勃起が促されます。
それと同時に、常に陰茎が勃起した状態にならないよう、人間の体内には勃起を抑制する酵素、PDE5があります。
血管拡張物質のcGMPがPDE5という酵素によって分解されることで、勃起は終息されていきます。
ED患者のほとんどは、このPDE5が強く働きすぎているため、勃起ができなかったり、継続することができないのです。
バイアグラなどのED治療薬の有効成分は、この勃起を抑制するPDE5という酵素の働きを阻害することができます。
PDE5の働きが弱まれば、cGMPが分解されることなく正常に働き、勃起が促されます。
この作用から、バイアグラなどのED治療薬はPDE5阻害薬とも言われています。
ちなみに、PDE5という酵素の働きを阻害する効果を持つED治療薬の有効成分は、主にシルデナフィル(バイアグラ)、バルデナフィル(レビトラ)、タダラフィル(シアリス)の3種類です。
勃起とED治療薬の関係
状態 | 脳からの勃起命令の有無 | 酵素(PDE5)の状態 | 勃起の有無 |
---|---|---|---|
通常時 | なし | 優勢 | なし |
正常な勃起 | あり(陰茎へ届く) | 劣勢 | する |
ED患者 (ED治療薬なし) |
あり(陰茎へ届く) | 優勢(何らかの理由) | しない |
ED患者 (ED治療薬あり) |
あり(陰茎へ届く) | 劣勢(有効成分の効果) | する |
自分の勃起機能などについて調べる方法
EDが気になる方は、自分の勃起機能について調べてみましょう。
簡単にEDの可能性を探ることができるEDセルフチェックツールがいくつか存在するのでご紹介いたします。
勃起の硬さスコア「EHS」
勃起の硬さスコア(Erection Hardness Score:EHS)とは、2007年にアメリカで開発された、EDかどうかを簡単にセフルチェックできる評価ツールです。
グレード0~グレード4という5段階で判定することができます。
信頼性が高く、2009年には米国版をもとに、勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)が開発されています。
EDの疑いがある多くの方にとって、勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)は短くて使いやすく、魅力的とされています。
たった1つの質問で、男性は勃起の硬さを簡単に評価し、医師に報告することができます。
勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)は、「あなたは自分の勃起硬度をどのように評価しますか?」という質問に対して、以下のグレードで回答します。
勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)
グレード | グレード0 | グレード1 | グレード2 | グレード3 | グレード4 |
---|---|---|---|---|---|
硬さのイメージ | こんにゃく | みかん | グレープフルーツ | りんご | |
陰茎の勃起状態 | 陰茎は大きくならない。 | 陰茎は大きくなるが、硬くはない。 | 陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。 | 陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。 | 陰茎は完全に硬く、硬直している。 |
勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)
グレード0 | 陰茎の勃起状態: 陰茎は大きくならない。 |
|
---|---|---|
グレード1 | こんにゃく | 陰茎の勃起状態: 陰茎は大きくなるが、硬くはない。 |
グレード2 | みかん | 陰茎の勃起状態: 陰茎は硬いが、挿入に十分なほどではない。 |
グレード3 | グレープフルーツ | 陰茎の勃起状態: 陰茎は挿入には十分硬いが、完全には硬くはない。 |
グレード4 | りんご | 陰茎の勃起状態: 陰茎は完全に硬く、硬直している。 |
※硬さのイメージ画像は、あくまでも勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)におけるイメージです
※勃起の硬さスコア(日本語版 EHS)の結果は、あくまでもEDの疑いの目安です
回答がグレード0~グレード2に該当する場合は、EDの可能性が非常に高く、グレード3であっても満足な性行為に至れなければ、EDの疑い対象となります。
国際勃起機能スコア「IIEF5」
国際勃起機能スコア(International Index of Erectile Function:IIEF)とは、ED(勃起不全)のスクリーニング検査や治療効果判定などに使われています。
日本語訳の短縮版「IIEF5」とも呼ばれます。
国際勃起機能スコア(IIEF5)は「過去6ヶ月で、該当するものをお選びください。(全5問)」という内容に対して、以下の回答から選択します。
国際勃起機能スコア(IIEF5)
1.勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか
- ・ 非常に低い(1点)
- ・ 低い (2点)
- ・ 中くらい (3点)
- ・ 高い (4点)
- ・ 非常に高い(5点)
2.性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか
- ・ ほとんど、又は全くならなかった (1点)
- ・ たまになった(半分よりかなり低い頻度) (2点)
- ・ 時々なった(ほぼ半分の頻度) (3点)
- ・ しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ・ ほぼいつも、又はいつもなった (5点)
3.性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか
- ・ ほとんど、又は全く維持できなかった (1点)
- ・ たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度) (2点)
- ・ 時々維持できた(ほぼ半分の頻度) (3点)
- ・ しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ・ ほぼいつも、又はいつも維持できた (5点)
4.性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか
- ・ 極めて困難だった(1点)
- ・ とても困難だった(2点)
- ・ 困難だった (3点)
- ・ やや困難だった (4点)
- ・ 困難でなかった (5点)
5.性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか
- ・ ほとんど、又は全く満足できなかった (1点)
- ・ たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度) (2点)
- ・ 時々満足できた(ほぼ半分の頻度) (3点)
- ・ しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)(4点)
- ・ ほぼいつも、又はいつも満足できた (5点)
国際勃起機能スコア(IIEF5)
1.勃起してそれを維持する自信はどの程度ありましたか
- ・ 非常に低い
(1点) - ・ 低い
(2点) - ・ 中くらい
(3点) - ・ 高い
(4点) - ・ 非常に高い
(5点)
2.性的刺激によって勃起した時、どれくらいの頻度で挿入可能な硬さになりましたか
- ・ ほとんど、又は全くならなかった
(1点) - ・ たまになった(半分よりかなり低い頻度)
(2点) - ・ 時々なった(ほぼ半分の頻度)
(3点) - ・ しばしばなった(半分よりかなり高い頻度)
(4点) - ・ ほぼいつも、又はいつもなった
(5点)
3.性交の際、挿入後にどれくらいの頻度で勃起を維持できましたか
- ・ ほとんど、又は全く維持できなかった
(1点) - ・ たまに維持できた(半分よりかなり低い頻度)
(2点) - ・ 時々維持できた(ほぼ半分の頻度)
(3点) - ・ しばしば維持できた(半分よりかなり高い頻度)
(4点) - ・ ほぼいつも、又はいつも維持できた
(5点)
4.性交の際、性交を終了するまで勃起を維持するのはどれくらい困難でしたか
- ・ 極めて困難だった
(1点) - ・ とても困難だった
(2点) - ・ 困難だった
(3点) - ・ やや困難だった
(4点) - ・ 困難でなかった
(5点)
5.性交を試みた時、どれくらいの頻度で性交に満足できましたか
- ・ ほとんど、又は全く満足できなかった
(1点) - ・ たまに満足できた(半分よりかなり低い頻度)
(2点) - ・ 時々満足できた(ほぼ半分の頻度)
(3点) - ・ しばしば満足できた(半分よりかなり高い頻度)
(4点) - ・ ほぼいつも、又はいつも満足できた
(5点)
※この問診票は、医療機関でEDの診察を行う際に補助資材として使われている国際勃起機能スコア(IIEF5)をもとに作成しています
結果は、回答したそれぞれの点数の合計点から導き出されます。
診断結果の内容は以下の通りです。
「IIEF5」重症度の分類
- 22点~25点 :正常
- 17点~21点 :軽度ED
- 12点~16点 :軽度ED~中等度ED
- 8点~11点 :中等度ED
- 5点~7点 :重度ED
※国際勃起機能スコア(IIEF5)の結果は、あくまでもEDの疑いの目安です
合計点が21点以下の方は、EDの疑いがあります。
気になる症状のある方は、一度医師に相談してみましょう。
当クリニックオリジナル「ED危険度チェッカー(EDセルフチェック)」
当クリニックでは、最速1分で勃起機能やEDの疑いがあるかどうかなどをセルフで診断できるED危険度チェッカーを設置しています。
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まずは、セルフチェックで症状の把握をしてみましょう。
また、心因的、生活習慣、事故、手術など、様々な観点から最適な治療方法や予防方法をご案内しています。
「EDかも?」と思った方は、お気軽にご利用下さい。
ED以外の勃起に関する疾患
ED以外にも勃起に関する疾患が存在します。
EDに繋がる可能性のある疾患もあるので、参考までに覚えておきましょう。
持続勃起症(プリアピズム)
持続勃起症(Priapism:プリアピズム)とは、自分の意思や性欲と関係なく勃起状態が続く病気です。
正常な勃起は、性的な想像をやめたり、性的刺激がなくなれば元に戻りますが、持続勃起症では、勃起がやみません。
持続勃起症には、陰茎の海綿体の動脈が何らかの原因で破れ、過剰に血液が流れ続ける動脈性持続勃起症と、反対に陰茎の海綿体の血流が悪く、うっ血して起こる静脈性持続勃起症があります。
動脈性持続勃起症の場合は、陰茎の硬さが不完全な状態で痛みを伴いませんが、静脈性持続勃起症の場合は、陰茎が硬く完全勃起状態で痛みを伴います。
また、静脈性持続勃起症は、放っておくと血流が止まっているため、新鮮な酸素が送られず、発症から約6時間で陰茎の海綿体などの組織が壊死し始めます。
組織の損傷が激しいと勃起機能を永続的に損なうこともあります。
慢性的な貧血を伴う鎌状赤血球症や血液のがんとも呼ばれる多発性骨髄腫、白血病などの方は、陰茎の血流に影響を与えやすく、勃起持続症を発症するリスクが高いとされています。
5歳~10歳の男児や20代~50代の男性で最もよく見られる疾患です。
持続勃起症が悪化するとEDになる可能性が高まるので、早期の治療が必要です。
陰茎形成性硬結症(ペロニー病)
ペロニー病(Peyronie's disease:陰茎硬化症/形成性陰茎硬化症)とは、陰茎の海綿体を囲む繊維性の白膜などが炎症を起こし、硬いしこりができる病気のことです。
しこり部分は勃起した時に正常に伸びないため、しこりの部分から陰茎に大きな歪曲が生じ、性行為が困難、または不可能になります。
さらに勃起時には痛みを伴うこともあり、悪化するとEDの原因にもなります。
外傷によってペロニー病を発症することがありますが、外傷がなくても発症することがあります。
外傷がない場合は、糖尿病や高血圧、タバコの喫煙などが発症につながる危険因子と考えられています。
放置するとEDになる可能性が高まるので、早期の治療が必要です。
嵌頓包茎
嵌頓包茎とは、包茎の状態から包皮をむいて亀頭を露出させたとき、包皮が亀頭下部を締めつけてしまい、めくれた包皮が元に戻せなくなる状態のことです。
めくれた包皮が戻せなくなると、圧力が増して亀頭が腫れ、放置すると陰茎の組織が壊死することがあります。 激しい痛みを伴うこともあります。
仮性包茎、または真性包茎で包皮の環状切除術を受けていない男性にのみ発症します。
医療上の処置(尿道へのカテーテル挿入など)の後や子どもの陰茎を清潔にした後、包皮をめくったままにしていた際に起こることがあります。