皆さんは「亀頭包皮炎」という陰茎の疾患をご存知でしょうか。
陰茎の亀頭周辺や包皮の内側が赤くなったり、腫れたり、かゆくなるなどの症状が現れる疾患です。
時には痛みを伴うこともあります。
男性であれば誰でも発症する可能性があります。
特に、包茎の方は亀頭包皮炎を発症しやすいと言われています。
治療せず放置すると「尖圭コンジローマ」に感染しやすくなったり、「陰茎がん」の原因になることもあります。
今回は、亀頭包皮炎の症状や原因、治療方法などについて解説します。
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亀頭包皮炎とは?
亀頭包皮炎とは、陰茎先端部分の「亀頭」とそれを包んでいる皮膚の「包皮」が同時に炎症を引き起こし、痛みや腫れ、かゆみなどの症状が現れる疾患です。
ただし、炎症している部位が亀頭だけなら「亀頭炎」、包皮だけなら「包皮炎」と呼ばれます。
亀頭包皮炎は、何らかの細菌や真菌が原因となって発症するため、「細菌性亀頭包皮炎」と「真菌性亀頭包皮炎」の2種類に分類されます。
亀頭包皮炎の分類
細菌性亀頭包皮炎 | 大腸菌、黄色ブドウ球菌、レンサ球菌、クラミジア・トラコマチス、淋菌、梅毒トレポネーマなどの細菌が原因となって発症する亀頭包皮炎 |
---|---|
真菌性亀頭包皮炎 | カビ、カンジダなどの真菌が原因となって発症する亀頭包皮炎 |
男性であれば年齢を問わず、誰でも発症する可能性があります。
特に、包茎の方は亀頭包皮炎を発症しやすい傾向があります。
亀頭包皮炎の主な症状
亀頭包皮炎は、亀頭や包皮が炎症することで、以下の様な症状が引き起こされることがあります。
亀頭包皮炎の主な症状
- 疼痛(排尿痛を含む)
- 赤み
- 腫れ
- 化膿
- 出血
- かゆみ
- 異臭(酸臭など)
- 白色や黄色のカス
- etc...
どのような症状が出るかは、感染原因となる細菌や真菌の種類によって異なります。
例えば、黄色ブドウ球菌などの細菌が原因の場合は、赤みやかゆみが強く、化膿することが多いという特徴があります。
一方、カンジダなどの真菌が原因の場合は、亀頭や包皮内側に白色や黄色のカスが出たり、すっぱい臭い(酸臭)がすることが多いという特徴があります。
また、ごく稀に疼痛によって勃起ができなくなるといったこともあります。
勃起時に痛みを引き起こすことがあるので、広義では「ED(勃起不全)」に近い状態になってしまうのです。
亀頭包皮炎の原因
黄色ブドウ球菌などの細菌やカンジダなどの真菌が感染することで、亀頭包皮炎の症状が現れます。
亀頭包皮炎の約9割は細菌性亀頭包皮炎によるものだとされています。
性行為後に何らかの細菌に感染し、発症することが多い傾向があります。
亀頭包皮炎に感染してしまう原因について解説します。
亀頭包皮炎の原因
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性行為
性行為によって亀頭包皮炎を発症してしまうことがあります。
性行為の際に摩擦や刺激によって亀頭や包皮に傷がつくと、そこから何らかの細菌や真菌が侵入し、感染してしまうことがあるのです。
相手が性器クラミジア感染や梅毒などの性感染症(性病)に感染していた場合は、さらに亀頭包皮炎を発症しやすくなります。
また、通常の性行為(膣性交)以外にオーラルセックス(口腔性交)をすると、歯で陰茎を傷つけてしまうことがあるので、感染する確率が高まります。
性行為をする際には、事前の性病検査やコンドームを使用して性感染症を予防しつつ、陰茎に傷がつかないように対策することが大切です。
自慰行為(マスターベーション)
自慰行為(マスターベーション)によって亀頭包皮炎を発症してしまうことがあります。
性行為に限らず、陰茎に触れる機会がある自慰行為にも亀頭や包皮に傷がつくリスクがあります。
特に、床オナニー(いわゆる、床オナ)など間違った自慰行為によって激しい刺激や摩擦が加わると、亀頭包皮炎を発症するリスクが高まります。
亀頭包皮炎は、大腸菌や黄色ブドウ球菌などの常在菌によって引き起こされることもあるからです。
性感染症だけが亀頭包皮炎の原因になるわけではないということを覚えておきましょう。
包茎
包茎によって亀頭包皮炎を発症してしまうことがあります。
体の免疫力が低下した際に性行為や自慰行為とは関係なく、常在菌によって亀頭包皮炎を発症してしまうのです。
包茎の方は、包皮の内側を清潔に保てないことが多く、包皮内に溜まった垢(恥垢)や雑菌が原因となって炎症を引き起こしやすいからです。
包茎の方が亀頭包皮炎を発症しやすいと言われている理由はこのためです。
性行為や自慰行為を日常的に行う包茎の方は、さらにリスクが高くなると言えます。
糖尿病
糖尿病によって亀頭包皮炎を発症してしまうことがあります。
糖尿病の方は、高血糖によって免疫力が低下する傾向があります。
そのため、潜在的に様々な感染症を引き起こしやすく、亀頭包皮炎も発症しやすいのです。
糖尿病によって引き起こされる亀頭包皮炎のことを「糖尿病性亀頭包皮炎」と呼ぶこともあります。
包皮の柔軟性や弾力性が低下しやすいため、包皮を引き伸ばしたりすると、容易にひび割れや裂け目を生じるのが特徴です。
亀頭包皮炎の治療方法
亀頭包皮炎は、治療しなくても自然治癒することがあります。
しかし、 放置すると症状がどんどん悪化する場合の方が多く、「尿道狭窄症」や「リンパ節腫脹」を引き起こすリスクが高まります。
治療せず放置するのは、絶対におすすめできません。
悪化してしまった後に治療を受けても、完治までに時間がかかってしまうこともあります。
早期に治療を開始すれば数日中に症状が改善することが多いので、亀頭包皮炎は自然治癒力に任せず、専門の医療機関で治療しましょう。
亀頭包皮炎の治療方法は、以下の通りです。
亀頭包皮炎の治療方法
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原因となる疾患の治療
基本的には、亀頭や包皮の清潔を保てるように、患部を洗うことが大切です。
その上で、原因となる性感染症や糖尿病などの治療を行うことになります。
包茎の方が亀頭包皮炎を繰り返す場合は、包茎手術が必要になることもあります。
薬物療法
亀頭包皮炎は、内服薬(飲み薬)や外用薬(塗り薬)などの抗生物質を用いた薬物療法で治療することが可能です。
基本的には、数日~1週間程度で症状が改善されます。
ただし、糖尿病の方や免疫力が低下している方、炎症が強い方などの場合は、さらに時間がかかる傾向があります。
また、使用する抗生物質は細菌性亀頭包皮炎と真菌性亀頭包皮炎で異なります。
細菌性亀頭包皮炎の場合
抗生物質として「抗菌薬」の塗り薬で治療が開始されます。
炎症が強い場合は、ステロイドを含んだ塗り薬を使用することがあります。
また、飲み薬と併用することもあります。
細菌性亀頭包皮炎の治療で使用される薬剤(成分名)
外用薬(塗り薬) | フシジンレオ(フシジン酸ナトリウム) |
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クロマイ-P(クロラムフェニコール、フラジオマイシン硫酸塩、プレドニゾロン) | |
内服薬(飲み薬) | オゼックス(トスフロキサシントシル酸塩水和物) |
フロモックス(セフカペンピボキシル塩酸塩水和物) | |
クラビット(レボフロキサシン水和物) | |
クラリス(クラリスロマイシン) | |
クラリシッド(クラリスロマイシン) | |
ステロイドを含む塗り薬 | キンダベート(クロベタゾン酪酸エステル) |
真菌性亀頭包皮炎の場合
抗生物質として「抗真菌薬」の塗り薬で治療が開始されます。
炎症が強い場合は、ステロイドを含んだ塗り薬を使用することがあります。
また、飲み薬と併用することもあります。
真菌性亀頭包皮炎の治療で使用される薬剤(成分名)
外用薬(塗り薬) | アスタット(ラノコナゾール) |
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ニゾラール(ケトコナゾール) | |
ラミシール(テルビナフィン塩酸塩) | |
ルリコン(ルリコナゾール) | |
内服薬(飲み薬) | イトリゾール(イトラコナゾール) |
ジフルカン(フルコナゾール) | |
ステロイドを含む塗り薬 | キンダベート(クロベタゾン酪酸エステル) |
ロコイド(ヒドロコルチゾン酪酸エステル) | |
グリメサゾン(デキサメタゾン、グリテール) |
まとめ~陰茎を清潔に保とう!~
亀頭包皮炎を引き起こす原因は、何らかの細菌や真菌に感染してしまうからです。
原因菌の増殖を防ぐため、亀頭や包皮を含む、陰茎全体を清潔に保つことが大切です。
入浴の際は、必ずシャワーのお湯を使用し、優しく洗い流しましょう。
その際、「洗い過ぎ」や「擦り過ぎ」には注意が必要です。
「どこまで洗えばいいのか」「どの程度の力を入れていいのか」などを判断するのは、個人差があるため、難しいかもしれません。
しかし、清潔に保とうとして、ゴシゴシと洗ってしまうと摩擦や刺激によって炎症を起こし、逆効果になってしまいます。
何事もやりすぎはよくありません。
亀頭は薄くデリケートな粘膜組織で覆われているため、優しく丁寧に洗うことを心がけましょう。
スタッフより
クリニックコラムをお読みいただきありがとうございます!
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