AGA(男性型脱毛症)について調べている人は、調べてみると「ヘアサイクル」に関する記述を見ることが多いのではないかと思います。
ヘアサイクルは、新しく生えてきた髪の毛が成長期、退行期、休止期を経て抜け落ちて、また生えてくる循環のことです。
しかしAGA治療薬のプロペシア(成分名フィナステリド)が、「ヘアサイクル」に働きかけて薄毛を改善させていることはあまり知られていません。
そこでこの記事ではプロペシアとヘアサイクルの関係について解説します。
ヘアサイクルの簡単な解説
まず最初にヘアサイクルについて簡単に解説しておきます。
1本の毛が生えるのは、髪の毛の根元部分にある毛母細胞が分裂・増殖しているからです。
この期間を成長期といい、髪は太く長くなります。
成長が止まると退行期に入り、続いてその髪の毛の下に新たな髪がつくられ始める休止期に移行し、しばらくすると抜け落ちて新たな髪が生えてきます。
健康な髪の毛の場合、1つのヘアサイクルは2~6年程度と言われ、放置すると70~80センチくらいになります。
有効成分、フィナステリドの働き
ヘアサイクルの基本を押さえたところで、プロペシアの有効成分であるフィナステリドの働きについてみていきましょう。
AGAの原因となっているのは、男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)です。
DHTが活性化されると(DHTが増殖したり活発に動き始めたりすると)、成長期が極端に短くなってしまいます。
5年以上続くこともある成長期が、数カ月や1年程度に著しく短縮してしまいます。
成長期が短くなることで、髪の毛は大きく成長する前に細くて弱いまま抜けて行ってしまいます。
時間を置いてから、また発毛してもその髪の毛も大きく成長する前に抜けてしまいます。
AGAの症状が強く出る部位では、地肌が見えやすくなったり、水で濡れたときに髪のボリュームがなくなることなどで症状の進行を感じる方が多いです。
AGAの原因となるDHTは、5αリダクターゼという酵素によってつくり出されます。
5αリダクターゼには1型と2型があり、フィナステリドは2型5αリダクターゼの働きを抑えます。
その結果、血中のDHTが7割程度減ることで力が弱まり「髪の毛の成長期の短縮」が止まり、元の2~6年程度のヘアサイクルに戻り易くなるわけです。
プロペシアはゆっくり効く
AGAを発症すると、髪の毛が短いまま、細いまま抜け落ちてしまいます。
それでは次の髪の毛が育つ時間がないので、その間、髪の毛が抜け落ちたエリアは「無毛」や「しっかりとした髪の毛が少ない状態」になります。
これが薄毛という状態です。
では、プロペシアを服用すればすぐに成長期の期間が数カ月から5年に延長されるのかというと、そうはなりません。
例えば、風邪で高熱を出したとき解熱剤を飲むと1時間以内に熱が下がり、薬の効果が薄れるとまた熱が出ます。
プロペシアの効果は、これほど猛烈な即効性があるわけではありません。じっくりとゆっくりと効果が現れるのです。
臨床試験では6カ月で効果が現れる
プロペシアはAGAの進行、薄毛、抜け毛を「ほぼ確実に止める」ことができる薬として認証されています。
そして製薬メーカーの調査では、プロペシアを1年間継続的に服用した人の98%が「AGAの症状が改善した」または「薄毛の進行が止まった」と実感しています。
そして改善効果を感じることができたのは、プロペシアを飲み始めて24週(6カ月)が経過したころです。
製薬メーカーも半年間服用して、自身に対して効果があるかどうかを判断するべきと言っています。
つまりプロペシアは、成長期の「ヘアサイクル」を6カ月かけて元のように直していくのです。
それでは次に、ヘアサイクルが改善する様子を紹介します。
プロペシアを飲み始めたのに抜け毛が増えることもある?
プロペシアを飲み始めるとヘアサイクルが変わるのですが、その変わり始めに「驚くこと」が起きることがあります。
それは「初期脱毛」です。この症状は全員に出るわけではありません。
飲み始めから3カ月間の間に、これまでのより脱毛量が増えることがあります。
抜け毛の本数が1日200~300本に達することもあります。
しかしこれはプロペシアが「効いている証拠」なので安心してください。
プロペシアを飲むと、まだ表皮に出ていない、皮膚の下の新しい毛が勢力を持ちます。
しかしすでに生えている毛はAGAによって弱っています。
すると、パワフルな新しい毛がAGAによって弱った毛を押し出してしまうのです。
これが初期脱毛ですが、プロペシアを飲み続けると次第に止んできて、その後に「よいヘアサイクル」が到来します。
前段でも書いていますが、服用を中断するほどの副作用などが無ければ、この初期脱毛があった場合でも、自身に対しての効果があるかどうかは、最低でも半年間服用を続けてから判断するのが良いでしょう。
プロペシアによって生じる「よいヘアサイクル」とは
初期脱毛は出る人と出ない人がいます。
初期脱毛が出ない人は、プロペシアの飲み始めから3カ月以内に抜け毛が減り、産毛(うぶげ)が目立つようになります。
初期脱毛が出た人は、初期脱毛が止んだあたりでこの症状が出てきます。
そして4~6カ月後には、産毛が太くなり、薄毛が気になっていた部分が「目視レベル」で改善してきます。
このころから家族や親しい友人たちから「感じが変わってきた(毛が増えてきた)」といわれるようになるでしょう。
さらに1年ぐらいかけて、生え際の後退が止まったり、生え際が前進してきたり、「明らかに抜け毛が減った」と実感できたりします。
プロペシアを飲み続けることで、このヘアサイクルの好循環を維持できます。
まとめ~ヘアサイクルの好循環を待とう
プロペシアによるAGA治療は時間がかかります。「効いた」と確証が得られるまでに1年かかる人もいます。
それは、悪循環に陥っていたヘアサイクルや毛髪サイクルを好循環に戻すのに時間がかかるからです。
しかも悪循環が止まったことに気がつく人は少ないので、「まだ効果が出ない」と感じてしまう時期が長期化します。
プロペシアを使用中の人も、これから試す人も気長に最低でも半年の服薬を試してみてください。
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