クリニックコラム

AGAが遺伝するメカニズムを解説【医師監修】

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AGAが遺伝するメカニズムを解説【医師監修】

AGA(男性型脱毛症)は、遺伝によって受け継がれる可能性が高いと言われています。

「本当にAGAは遺伝するのか?」
「なぜAGAが遺伝するのか?」

などと疑問に思う方も多いはず。

今回は、AGAが遺伝するメカニズムなどについて解説します。

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AGAのメカニズム

DNAのイメージ

AGA(男性型脱毛症)が遺伝するメカニズムを解説する前に、AGAを発症するまでのメカニズムについて解説します。
AGAと遺伝の関係性を説明する上で欠かせないホルモンやタンパク質などの働きがあるからです。

AGAを発症するまでの流れは以下の通りです。

AGAのメカニズム

AGAのメカニズム

  1. 「テストステロン」と「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」が結合する
  2. 「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換される
  3. 「DHT」と「男性ホルモンレセプター(受容体)」が結合する
  4. 「TGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)」が増加する
  5. 「TGF-β」が脱毛の命令を出す

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1.「テストステロン」と「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」が結合する

男性ホルモンの一種である「テストステロン」と「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」と呼ばれる還元酵素の結合がAGA発症のきっかけとなります。

テストステロンとは、男性らしい筋肉や体格の発達に欠かせない重要な男性ホルモンの一種です。
一方、5αリダクターゼは、人体に存在する還元酵素(酸素を突き放す化学反応)の一種です。

2.「DHT(ジヒドロテストステロン)」に変換される

分泌されたテストステロンが毛乳頭細胞に運ばれ、5αリダクターゼと結合すると「DHT(ジヒドロテストステロン)」と呼ばれる、より強力な男性ホルモンに変換されます。

DHTとは、胎児期に男性生殖器の形成に関わり、母親の胎内で成長する過程で必要不可欠な男性ホルモンです。

しかし、AGAの原因ともいえる脱毛因子を作り出す働きがあるため、「最強にして最凶の男性ホルモン」「悪玉男性ホルモン」などと呼ばれることもあります。

3.「DHT」と「男性ホルモンレセプター(受容体)」が結合する

変換されたDHTは、前頭部(髪の生え際)や頭頂部の毛乳頭細胞に多く存在する「男性ホルモンレセプター(受容体)」に結合します。
男性ホルモンレセプターは、髪の成長に必要な受容体です。

DHTが多く生成されてしまうと、DHTは男性ホルモンレセプターと結合し、「脱毛の命令(信号)」や「髪の毛の成長を止める命令」を出すようになってしまいます。

DHTと男性ホルモンレセプターの結合は、髪の毛の成長に関わる毛母細胞の働きを低下させることが科学的に証明されています。

4.「TGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)」が増加する

男性ホルモンレセプターがDHTと結合すると、「TGF-β(トランスフォーミング増殖因子-β)」と呼ばれる脱毛因子が増加します。

TGF-βは、タンパク質の一種で、様々な細胞の増殖や分化を抑え、細胞の働きをコントロールする作用があります。

AGAにおいては、TGF-βが作用することによる抜け毛が最も悪影響を及ぼすと考えられています。

5.「TGF-β」が脱毛の命令を出す

この脱毛因子であるTGF-βは、脱毛や髪の成長を止める命令を毛母細胞に出します。
TGF-βは、本来まだまだ伸び続ける予定だった髪の毛のヘアサイクルを乱すのです。

通常、髪の毛の成長期は、約2年~6年かけて退行期へと移行します。
しかし、TGF-βの作用が高まってしまうと、この成長期が約数か月~1年にまで短縮され、退行期に強制的に移行させてしまうのです。

髪の毛が太く、長く成長するはずの期間が極端に短くなるので、髪が十分に育つことができず、抜けやすくなります。
結果的に脱毛が進行し、本格的にAGAを発症してしまうのです。

AGAが遺伝するメカニズム

悩む家族

AGAの発症には、生まれ持った遺伝子が大きく関わっています。

AGAの原因に関わるのは、以下2つの要素(遺伝子情報)です。

AGAの原因となる要素(遺伝子情報)

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上記のどちらか一方、または両方の遺伝子情報を親から引き継いでいる子供は、AGAを発症する可能性が高くなります。

また、これらの要素(遺伝子情報)は、親から子供へ引き継がれやすいという特徴があります。

これが、「AGAは遺伝によって発症する可能性が高くなる」と言われる理由になります。

5αリダクターゼの活性度

5αリダクターゼの活性度」は、親から子供へ引き継がれる可能性のある遺伝子情報の一つです。
5αリダクターゼの活性度が高ければ、テストステロンと結合しやすく、DHTを多く生成してしまう体質になる可能性があります。

DHTが多く生成されてしまうと、AGAの原因ともいえる脱毛因子のTGF-βを作り出しやすくなるので、AGAに繋がりやすくなります。

5αリダクターゼの活性度に関しての情報を持つ遺伝子は、顕性遺伝(優性遺伝)です。
つまり、母親か父親のどちらかでも「5αリダクターゼの活性度が高い遺伝子」を持っていると子供へ引き継がれてしまう可能性が高まります。

男性ホルモンレセプターの感受性

男性ホルモンレセプターの感受性」は、親から子へ隔世遺伝として引き継がれる可能性のある遺伝子情報の一つです。
男性ホルモンレセプターの感受性が高ければ、DHTと結合しやすく、TGF-βを多く生成する体質になる可能性があります。

TGF-βが多く生成されてしまうと、それだけ毛乳頭細胞に脱毛の命令を出すことになり、薄毛の進行に繋がります。

隔世遺伝とは、祖父母以前の世代から世代を飛ばして遺伝子情報を引き継ぐことです。
つまり、両親が「男性ホルモンレセプターの感受性の高い遺伝子」を持っていなくても、先祖がその遺伝子情報を持っていれば引き継いでしまう可能性があるのです。

ただし、男性ホルモンレセプターの感受性は、母親の家系からのみ遺伝すると考えられています。
そのため、母親の家系に「男性ホルモンレセプターの感受性が高い遺伝子」を持った方がいれば、その子供は男性ホルモンレセプターの感受性が高くなりやすくなります。

AGAが遺伝する確率

AGAが遺伝する確率

「5αリダクターゼの活性度」や「男性ホルモンレセプターの感受性」などの遺伝子情報は、X染色体の中にあると言われています。

AGAが遺伝するメカニズムは、「5αリダクターゼの活性度の高い」遺伝子情報や「男性ホルモンレセプターの感受性の高い」遺伝子情報を両親から引き継ぐかどうかにかかっています。
逆に言えば、これらの遺伝子情報を引き継いでいない方は、AGAを発症しにくいとも言えます。

具体的な確率は、両親やその祖父母以前の世代でX染色体の中に、これらのAGAを発症しやすい遺伝子情報を持っているかどうかで変わってきます。

AGAが遺伝するケース①

遺伝ケース1

母親の祖父が薄毛で「男性ホルモンレセプターの感受性の高い」遺伝子情報を持っていた場合、その子供がAGAを発症する確率は約75%と言われています。

父親がAGAを発症しやすい遺伝子情報を持っていなくてもこれだけ確率は高まるのです。

AGAが遺伝するケース②

遺伝ケース2

母親の祖父と曽祖父ともに薄毛で「男性ホルモンレセプターの感受性の高い」遺伝子情報を持っていた場合、その子供がAGAを発症する確率は約90%と言われています。

さらに父親が「5αリダクターゼの活性度の高い」遺伝子情報を持っていた場合は、AGAを発症する確率が極めて高くなります。

AGA遺伝子検査で将来AGAになる可能性を判定できる

説明する医者

AGA遺伝子検査という、遺伝子情報から潜在的にAGAを発症しやすい体質かどうかが分かる検査があります。

血液を採取したり、綿棒によって口内の細胞を採取して、AGAの発症に関係する遺伝子情報を持っているかDNA(デオキシリボ核酸)の塩基配列の長さで判定します。

将来的にAGAを発症しやすい体質かどうかなどを調べることができるので、今後の薄毛予防やAGA治療などに役立てることができます。

AGAが心配な方は、一度試してみると良いでしょう。

ちなみに、当クリニックでは、21,000円(税込)でAGA遺伝子検査を行うことが可能です。
10日程度で結果がわかるので、おすすめです。

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まとめ~遺伝でも諦めないで!~

AGAの発症原因は、遺伝だけではありません。
しかし、遺伝によってAGAを発症する傾向があるのは事実です。

とはいえ、AGA遺伝子検査などでAGAになりやすい遺伝を持っていると判明した場合でも諦める必要はありません。
何らかの疾患でも軽度の症状から重度の症状まで幅があるように、AGAの症状もそれぞれ人によって強弱があります。
AGAに関係する遺伝子情報にも幅があるため、遺伝したからといって絶対に薄毛になるわけではありません

また、実際にAGAを発症してしまったとしても、AGA治療薬などで治療することが可能です。

当クリニックでは、プロペシアやザガーロなどのAGA治療薬を取り扱っています。
AGAでお悩みの方は、ぜひ一度検討してみてください。

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