脂漏性脱毛症という脱毛症をご存知でしょうか?
最近、「頭皮がベタついて、フケが多くなっているかも?」と感じている方は要注意です。
今回は、脂漏性脱毛症の症状や原因、治療方法などについて解説します。
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脂漏性脱毛症とは
脂漏性脱毛症とは、脂漏性皮膚炎が原因で引き起こされる脱毛症のことです。
脂漏性皮膚炎は、頭部に現れる皮膚疾患の一種で、頭や顔などの皮脂腺から分泌される皮脂の過剰分泌が原因で、頭皮がベタつき、炎症や湿疹、フケを引き起こします。
脂漏性湿疹とも呼ばれています。
適切な治療をせず、症状を放置した場合、頭皮環境が悪化すると毛穴が炎症を起こし、フケが溜まります。
結果として、発毛が上手くいかず、抜け毛が増えて脱毛状態になってしまうことがあり、それを脂漏性脱毛症と呼びます。
幼児から高齢者まで幅広い世代で男女の性別問わず、誰でも発症する可能性がありますが、比較的、思春期以降に症状が現れる方が多い傾向があります。
また、高温多湿で紫外線が強くなる夏の時期は、頭皮環境が悪化しやすいため、発症もしやすくなります。
脂漏性脱毛症は、放置しても症状が改善したり、治る疾患ではありません。
疑わしい症状が出た場合は、早めに医療機関での治療が必要です。
脂漏性脱毛症の症状
脂漏性脱毛症は、何の前触れもなく生じる疾患ではありません。
脂漏性皮膚炎を発症し、悪化した結果に脱毛症へと至るのです。
発症する時期は夏に多い傾向がありますが、寒く乾燥する冬の時期になると症状が悪化しやすくなります。
冬の時期は、頭皮の肌が乾燥しやすく、皮膚がぽろぽろ剥けるような大量のフケが出ることがあります。
かゆみが出る方もいれば、全くかゆみが出ない方まで様々です。
脂漏性皮膚炎の症状が出やすいのは、皮脂腺が多く、皮脂の分泌が多い頭皮や髪の生え際の部分になります。
脂漏性脱毛症の主な症状は、以下の通りです。
脂漏性脱毛症の主な症状
- 抜け毛
- 頭皮のベタつき
- 大量のフケ
- 炎症やニキビ
- 赤みやかゆみ
- etc...
勿論、脱毛症なので、一番深刻な症状は抜け毛になります。
しかし、脂漏性脱毛症は抜け毛以外にも、ニキビやフケによって見た目や衛生面にも弊害が出る疾患だということを覚えておきましょう。
精神衛生を害す
抜け毛以外に脂漏性脱毛症で注目したい症状は、頭皮のベタつきと大量のフケです。
これらはいずれも、精神衛生を害す原因になります。
頭皮のベタつきは、頭皮にこびりついた皮脂のせいなので、当然、髪の毛にもそのベタつきがうつってしまいます。
そうすると、テカテカと髪の毛が光って見え、見た目が良くありません。
そして、脂漏性脱毛症によるフケは大粒で大量に発生しやすいので、周囲の人に不潔な印象を与えてしまうかもしれません。
身だしなみの乱れは、心の乱れに繋がります。
また、心の乱れは身だしなみに現れ、抜け出せない悪循環が生まれてしまいます。
「抜け毛よりはまし」などと考えず、頭皮のベタつきやフケが多くなった段階で、治療に取りかかったほうがよいでしょう。
健全な精神状態を保って、正常な判断ができる内に行動に移りましょう。
脂漏性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は異なる疾患
脂漏性脱毛症とAGA(男性型脱毛症)は全く別の疾患です。
たまに勘違いする方がいるので、覚えておきましょう。
髪の毛が抜けていってしまうということ以外は、症状や発症に至るメカニズムが異なります。
脂漏性皮膚炎とAGAに直接的な関係はありません。
また、脂漏性皮膚炎がAGAの直接的な原因になることもありません。
ただ、条件が揃えば脂漏性脱毛症とAGAが併発することは十分にあり得る話ではあります。
脂漏性脱毛症の原因
脂漏性脱毛症を引き起こしているのは、体内から湧き出てくる皮脂が原因です。
皮脂が過剰に増えることで、脂漏性皮膚炎を引き起こし、結果として脂漏性脱毛症を発症すると考えられています。
脂漏性脱毛症の発症は、以下の様な原因が考えられています。
脂漏性脱毛症の原因
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マラセチア菌
皮膚の常在菌として知られる、マラセチア菌という真菌(カビ)の一種が脂漏性皮膚炎を引き起こす原因の一つであると言われています。
通常、マラセチア菌は、肌トラブルを起こす存在ではありませんが、栄養源(エサ)にしている皮脂が過剰に増えると、マラセチア菌も急激に増えて炎症を引き起こします。
皮脂の量が増えると、比例してマラセチア菌も増殖するのです。
マラセチア菌は、皮脂を栄養にして分解する際、皮膚に刺激を与えます。
急激に増殖した大量のマラセチア菌によって刺激が強まると炎症が脂漏性皮膚炎、ひいては脂漏性脱毛症として症状に現れます。
間違った頭皮ケアやヘアケア
頭皮に合わないシャンプーやトリートメント、ヘアトニック、ヘアリキッドなどの使用によって、炎症を引き起こし、脂漏性脱毛症を招くことがあります。
頭皮のベタつきが気になると洗浄力の高いシャンプーを使いたくなりますが、本来必要な皮脂まで過剰に洗い流してしまうと、逆に皮脂の分泌量を増やす原因になります。
さらに、ゴシゴシと強い力で洗髪したり、1日に何度も洗髪してしまうと頭皮を傷つけ、炎症を悪化させてしまうこともあります。
また、毛穴を塞いでしまうような自分の頭皮に合わないトリートメントやヘアトニック、ヘアリキッドなどの使用も頭皮環境悪化に繋がるので、控えたほうが良いでしょう。
毛穴に皮脂が詰まるとマラセチア菌の増殖を促す原因にもなります。
生活習慣の乱れ
生活習慣の乱れも脂漏性脱毛症の原因の一つです。
栄養バランスの悪い食事や喫煙(たばこ)、過度な飲酒(アルコール)は過剰な皮脂の分泌を促し、頭皮環境を悪化させる大きな要因になります。
偏った食事でビタミンが不足すると乾燥肌を招き、肌荒れの原因になります。
また、肉類や揚げ物などの「高カロリー」「高脂質」「高塩分」な食事の食べ過ぎは皮脂の過剰分泌に直結します。
睡眠不足や睡眠の質の低下も肌の不調を招く原因に繋がります。
起きている時間が長ければ長いほど交感神経が活発に働くので、皮脂の分泌が促されてしまいます。
ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスの乱れは、肌トラブルを招く原因の一つです。
ホルモンバランスは、過度なストレスや加齢、睡眠不足、妊娠、出産などによって変化します。
皮脂の分泌を促しているのは男性ホルモンです。
男性ホルモンが乱れて過剰に分泌されると、同時に皮脂の分泌量も増加してしまい、結果として脂漏性皮膚炎へ至りやすくなります。
脂漏性脱毛症の治療方法
脂漏性脱毛症を治すには、皮脂の状態を正常に戻し、頭皮環境を整える必要があります。
脂漏性皮膚炎を起こしている状態では、脂漏性脱毛症を治すことは難しいと言えます。
脂漏性脱毛症の治療方法をいくつかご紹介します。
脂漏性脱毛症の治療方法
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ステロイドの使用(外用薬)
脂漏性皮膚炎の改善には、ステロイドの外用薬(塗り薬)が有効な場合があります。
早期の治療の場合は、すぐに炎症を抑えることができます。
ステロイドの外用薬は、脂漏性皮膚炎を治療するため抗真菌薬と併用して使われることがあります。
ただし、ステロイドの外用薬は効果が強いものの、同じ部位に長期間塗り続けると皮膚が薄くなるなどの副作用が起こりやすくなるので、注意が必要です。
抗真菌薬の使用(外用薬)
脂漏性皮膚炎は、真菌の一種であるマラセチア菌が原因の可能性もあるので、抗真菌薬の外用薬(塗り薬)が有効な場合があります。
治療には、主にケトコナゾールという成分が含まれる抗真菌薬が使用されます。
皮膚科の病院やクリニックなどの医療機関で処方してもらうことができます。
症状によっては、抗真菌薬の成分が入ったシャンプーやトリートメントが処方されることもあります。
抗真菌薬の外用薬は、ステロイドの外用薬と違い、ほとんど副作用がありません。
上手く治療が進めば、約2週間で症状の改善が期待できます。
頭皮ケアやヘアケアの改善
皮脂が頭皮や髪の毛に悪影響を及ぼしている場合、しっかり頭皮ケアやヘアケアを行なって清潔にする必要があります。
ただし、頭皮ケアやヘアケア方法には注意が必要です。
脂漏性皮膚炎を発症している場合は、市販のシャンプーや洗浄力の強すぎるシャンプーでは逆効果になってしまう可能性があります。
かゆみを抑える抗炎症成分や真菌を殺菌する抗真菌成分の含まれた、肌に優しい低刺激シャンプーを使用しましょう。
また、洗髪の際は、ゴシゴシと強い力や爪を立てて頭皮を傷つけないように注意しましょう。
劣化した古い皮脂を頭皮や髪の毛から追い出すだけで十分なのです。
生活習慣の改善
根本的な脂漏性皮膚炎の治療には、生活習慣の改善が必要です。
生活習慣を見直さなければ、治療薬を服用して症状が改善しても、治療薬の服用をやめた途端、再発してしまう可能性があります。
肌の調子を整えてくれるビタミンが不足しないように、栄養バランスを考えて食事を摂る必要があります。
また、喫煙(たばこ)したり、過度の飲酒(アルコール)は控えたほうが良いでしょう。
寝不足にならないように良質な睡眠をとったり、過度なストレスをためないように適度に発散して、ホルモンバランスを乱さないようにすることも大切です。
まとめ~日々のケアが重要~
脂漏性脱毛症を予防するには、日々の頭皮ケアやヘアケアが欠かせません。
自分でできることは、今からすぐに始めてみてください。
頭皮環境の悪化は、皮脂の異常分泌を招きます。
脂漏性皮膚炎にならないために、皮脂を増やさず、清潔に保つことを心がけて生活しましょう。
もし、脂漏性皮膚炎と思われる症状が出た場合は、脱毛症へ移行する前に病院やクリニックなどの医療機関へ相談しに行きましょう。
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