性行為の際に、過度な不安や緊張、ストレスなどが生じると、心因性EDを引き起こし、勃起がうまくいかないことがあります。
そのため、ED(勃起不全)を治療するために精神安定剤(抗不安薬)を処方することがあります。
心因性EDを引き起こしても、精神安定剤を服用後、勃起に成功した事例は多数報告されています。
今回は、精神安定剤を服用するとEDの改善が期待できるメカニズムなどについて解説します。
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精神安定剤(抗不安薬)とは?
精神安定剤(抗不安薬)は、脳の興奮を抑えることで、不安や緊張などに関連する精神的・身体的症状を治療する薬剤です。
簡単に言えば、精神疾患、つまりメンタルの病気を治すための薬になります。
不安や緊張、イライラは誰でも経験しますが、これらが過度に発生すると精神疾患と診断され、精神安定剤が処方されるでしょう。
精神安定剤は、主に「ベンゾジアゼピン系抗不安薬」と「セロトニン作動性抗不安薬」の2種類に分類されます。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、脳内のベンゾジアゼピン(BZD)受容体を刺激する作用によって、心身症における不安や緊張、抑うつなどを和らげる薬剤です。
強力な抗不安作用があるので、日常生活に支障が出るほど不安や緊張が強く症状として現れる心身症に使用されます。
抗不安作用以外にも、筋弛緩作用や催眠作用、抗けいれん作用のあるベンゾジアゼピン系抗不安薬が存在し、幅広い疾患に使用されています。
しかし、長期間、または多量の服用を継続することで、薬剤耐性や依存性が生じるというデメリットがあります。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬には、以下の様な医薬品が存在します。
主な医薬品(有効成分)
- デパス(エチゾラム)
- セルシン(ジアゼパム)
- ホリゾン(ジアゼパム)
- リーゼ(クロチアゼパム)
- レスミット(メダゼパム)
- ワイパックス(ロラゼパム)
- バランス(クロルジアゼポキシド)
- コントール(クロルジアゼポキシド)
- メンドン(クロラゼプ酸二カリウム)
- メイラックス(ロフラゼプ酸エチル)
- etc...
セロトニン作動性抗不安薬
セロトニン作動性抗不安薬は、脳内の神経伝達物質セロトニンの働きを調整し、心身症における不安や抑うつ、焦躁、睡眠障害などを和らげる薬剤です。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬のように、薬剤耐性や依存性が生じることはほとんどありません。
しかし、ベンゾジアゼピン系抗不安薬に比べると効果が弱いため、第一選択薬としてセロトニン作動性抗不安薬はあまり使用されません。
セロトニン作動性抗不安薬には、以下の様な医薬品が存在します。
主な医薬品(有効成分)
- レメロン(ミルタザピン)
- リフレックス(ミルタザピン)
- セディール(タンドスピロンクエン酸塩)
- etc...
性行為と精神の関係
性行為(セックス)は、基本的には男女が体と体を合わせる行為で、「体だけでするもの」と思われがちです。
性欲のことを肉欲と呼ぶことがあるくらいです。
しかし、性行為は、体だけでするものではなく、精神(メンタルや気持ちなど)も大きく影響しています。
そもそも、精神が安定していなければ「性行為がしたい」といった性的衝動や性的興奮が起こらない可能性があります。
性行為には、精神的な要素が深く関わっているのです。
精神安定剤は心因性EDの改善が期待できる
心因性EDとは、不安や緊張、ストレスなど何らかの精神的な問題で勃起ができない、または勃起が不十分になることです。
極度に緊張した状態では、性的刺激がうまく脳に伝わらず、勃起させるための信号を陰茎に送ることができなくなります。
しかし、精神安定剤の服用によって、不安や緊張が解消、または緩和され、勃起機能が回復するかもしれません。
精神安定剤の服用をおすすめしたい方
- どうしても性行為中に焦ってしまう方
- 仕事や家庭のストレスを抱えながら性行為をしがちな方
- 過去に性行為に上手くいかなかった経験があり、どうしても緊張してしまう方
- etc...
上記のように、頭の中が性行為どころではなくなってしまい、勃起ができなかったり、勃起状態を維持できなくなってしまう場合には特におすすめです。
精神安定剤に頼りすぎるのはNG
「精神安定剤をED治療のために試してみたい」と考えている方は、以下の2点を忘れないでください。
注意点
- 精神安定剤は、ED治療薬ではない
- 精神安定剤は、本来、精神疾患を治療する薬なので、安易に使う薬ではない
そのため、精神安定剤に頼りすぎないように注意しましょう。
精神安定剤の副作用
精神安定剤は、本来、精神疾患を治療する薬です。
安易に使う軽い薬ではないので、以下の様な副作用を起こす可能性があります。
精神安定剤の主な副作用
- 倦怠感
- 脱力感
- 疲労感
- 筋弛緩
- 発汗
- 眠気
- 頭痛
- めまい
- 血圧低下
- 悪心
- etc...
※精神安定剤の種類によって副作用の内容は異なります
どの精神安定剤にも共通して、最も多く現れる副作用は、「眠気」や「脱力感」と言われています。
抗不安作用が強く働いてしまうため引き起こされる副作用です。
また、「血圧低下」による「頭痛」や「めまい」、「悪心」なども副作用の症状として現れることがあります。
リラックスし過ぎて逆効果になることも
リラックスし過ぎると、かえって勃起しづらくなることがあります。
精神安定剤の副作用には、眠気や傾眠(うとうと浅く眠っている状態)が確認されています。
眠たい状態が強まると、そもそも性欲や勃起から遠ざかってしまいます。
精神安定剤を安易に選択すると、リラックスし過ぎて逆効果になることもあるので、注意しましょう。
精神安定剤とED治療薬の併用が効果的
精神安定剤を服用することによって、性行為中に感じる不安や緊張を緩和し、精神をリラックスさせることができます。
精神的にリラックスした状態は、ED治療薬本来の効果が発揮されやすくなります。
特に心因性EDの場合は、精神安定剤とED治療薬の併用が解決に繋がることがあります。
心因性EDが原因で勃起状態を維持できない方は、試してみることをおすすめします。
当クリニックでは、精神的な問題の関与が強い方は、精神安定剤(抗不安薬)を 1錠100円(税込)にて処方しています。
気になる方は、お気軽にご相談ください。
ただし、精神安定剤のみでの処方は行っていないので、予めご了承ください。
ED治療薬だけで治るならそのほうが良い
心因性EDの場合でも、ED治療薬だけでEDを改善できることがあります。
もし、ED治療薬の服用だけで済むのであれば、わざわざ精神安定剤を服用する必要はありません。
勃起しにくいなと感じたら、まずED治療薬を試してみましょう。
ED治療の第1歩は、ED治療薬であることを忘れないでください。
まとめ~ED治療の選択肢は様々~
「精神安定剤がED治療に役立つことがある」と聞くと、意外に感じる方が多いはずです。
しかし、医療や医薬品の世界では、製薬会社が「特定の疾患の治療のために」と作られた薬が、別の疾患の治療に役立つことは珍しくありません。
ED治療は日々進化しているので、1つの治療方法で改善が見られなくても、諦めないでください。
EDでお悩みの方は、まず病院やクリニックなどの医療機関へ行き、医師に相談してみると良いでしょう。
当クリニックでは、個人それぞれのEDの原因や症状などに合わせ、あらゆる手段で治療いたします。
スタッフより
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