クリニックコラム

良質な精子や精液量(射精量)を増やす方法とは?【医師監修】

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良質な精子や精液量(射精量)を増やす方法とは?【医師監修】

皆さんは自分の「精子の質」や「精液量(射精量)」について考えたことがあるでしょうか。

精子の質や精液量は、男性の妊活だけに関係する問題ではありません。

男性が射精する際に性的快感を得るためにも重要とされています。
射精時の精液量が多いほど性的快感は高まると言われているのです。

また、精子の質を高めることは精液量の増加に繋がります。

今回は、良質な精子や精液量(射精量)を増やす方法について解説します。

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正常な精子や精液の基準値とは?

精子

精子と精液は厳密には違うものです。
精子とは、男性の生殖細胞のことを指し、精液とは、精子を含んだ液体のことを指します。

ちなみに、精液は、液体成分の「精漿(せいしょう)」と生殖細胞の「精子」で構成されています。
精漿とは、前立腺からの分泌液(前立腺液)約30%と精嚢からの分泌液(精嚢分泌液)約70%からできている液体です。

そして、精子や精液を正常と判断するために、様々な基準値が設けられています。

2021年にWHO(世界保健機関)が公開した「WHO laboratory manual for the examination and processing of human semen, 6th ed:人間の精液の検査と処理のためのWHO実験マニュアル(第6版)」では、以下の様な基準値が定められています。

項目 正常な基準値
精液量 1.4mL以上
精子濃度 1,600万/mL以上
総精子数 3,900万以上
運動率 42%以上
正常形態率 4%以上

これらの基準値を満たしている場合、ある程度良質な精子と言えるでしょう。

逆に言えば、これらの基準を満たしていない場合、男性不妊や性的快楽が低下する原因になると考えられます。

正常な精液量は「1.4mL以上」

日本人男性の1回の射精で放出される精液の平均的な精液量は約3mLと言われています。

しかし、1回の射精で放出される精液の正常な精液量は1.4mL以上です。
1.4mL以上の精液量があれば正常な範囲と言えるでしょう。

逆に、精液量が1.4mLより少ない場合は、精液が極端に少ない状態と言えます。
生まれつき精液量が少なかったり、逆行性射精障害などが疑われます。

1.4mL以上という数値は、はあくまで最低限必要とされる基準値です。
精子濃度や運動率などにもよりますが、1.4mLより少ない精液量の場合、パートナーを自然妊娠させる可能性が低くなったり、性的快楽が上手く得られなると考えられます。

正常な精子濃度は「1,600万/mL以上」

日本人男性の1回の射精で放出される精液の平均的な精子濃度は1mLあたり約1億と言われています。

しかし、1回の射精で放出される精液の1mlあたりの精子数が1,600万以上であれば正常な精子濃度です。
1,600万/mL以上の精子濃度であれば正常な範囲と言えるでしょう。

逆に、精子濃度が1,600万/mLより少ない場合、乏精子症や無精子症が疑われます。

精子濃度は、妊活を行う上で重要な数値となります。

正常な総精子数は「3,900万以上」

日本人男性の1回の射精で放出される精液の平均的な総精子数は約3億と言われています。

しかし、1回の射精で放出される精液の正常な総精子数は3,900万以上です。
3,900万以上の総精子数があれば正常な範囲と言えるでしょう。

逆に、総精子数が3,900万より少ない場合、自然妊娠が難しくなります。

総精子数は不妊治療を行う上で、重要な目安となります。

正常な運動率は「42%以上」

運動率とは、1回の射精時の精液内に含まれている、動いている精子の割合のことです。

日本人男性の1回の射精で放出される精液の平均的な運動率は約67%と言われています。

しかし、1回の射精で放出される精液の正常な運動率は42%以上です。
42%以上の運動率であれば正常な範囲と言えるでしょう。

逆に、運動率が42%より少ない場合、精子無力症が疑われます。

精子の運動率が低いと卵子まで到達できず、受精しにくくなるため、妊娠する確率が低くなるのです。

正常な正常形態率は「4%以上」

正常形態率とは、1回の射精時の精液内に含まれている、正常な形の精子の割合のことです。

日本人男性の1回の射精で放出される精液の平均的な正常形態率は約10%と言われています。

しかし、1回の射精で放出される精液の正常な正常形態率は4%以上です。
4%以上の正常形態率であれば正常な範囲と言えるでしょう。

逆に、正常形態率が4%より少ない場合、奇形精子症が疑われます。
精子の形が悪い状態だと受精率が低くなり、男性不妊の原因となります。

良質な精子や精液量を増やすメリット

妊婦

良質な精子や精液量を増やすことで、以下の様なメリットが得られます。

良質な精子や精液量を増やすメリット

  • 妊娠できる可能性が高くなる
  • 射精時の性的快感の向上
  • 男性ホルモン(テストステロン)の増加
  • 睡眠の質の向上
  • etc...

良質な精子や精液量を増やすことは、単純に生殖活動上で子孫を残すために有利に働きます。
つまり、妊活の際に妊娠できる可能性が高くなるというメリットがあるのです。

また、精液量は多ければ多いほど射精時の性的快感が向上すると言われています。
これは、射精時に骨盤底筋(PC筋)周辺が強く委縮し、精液を押し出す力が強く働くためと考えられます。

その他、男性ホルモンの一種である「テストステロン」の増加や睡眠の質(寝つき)が良くなるといったメリットも確認されています。

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良質な精子と精液量の関係

射精量が多いイメージ

精液に含まれている精子は精巣で作られています。
精巣でつくられた精子は、長期間射精しなければ「精巣上体」と呼ばれる管にある程度まで溜めることができます。

精子は1回射精によって放出されると、射精前の数に戻るまで約3日~4日かかると言われています。

しかし、精子の質は時間の経過と共に低下してしまいます。
生成された1日目が最も質が高い状態なのです。

そのため、単純に妊娠確率を向上させるためであれば、精子を溜め続ける必要はありません。
妊活を目的にする場合は、精子を溜めるよりも適切なペースで射精し、質の良い精子を確保する方が効果的なのです。

性行為を行う日に合わせて無理に長く禁欲し、射精を我慢する必要はないのです。
精子の質と精液量のバランスを考えるのであれば、2日に1回程度の射精がおすすめです。

ただし、射精による性的快楽を得るのが目的であれば、1週間~1ヶ月程度射精を我慢した後の方がより快楽を得やすくなります。

目的に応じて精子の質と精液量のどちらかを優先すると良いでしょう。

良質な精子や精液量を増やす方法

増えるイメージ

良質な精子や精液量(射精量)を増やすためには、生成しやすい環境を作ったり、精子や精液の生成に役立つ栄養成分を取り入れることが大切です。

良質な精子や精液量を増やす方法をご紹介します。

良質な精子や精液量を増やす方法

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禁煙する

禁煙

喫煙(たばこ)は精子や精液のすべてのパラメーターに悪い影響を与えるということが様々な研究で明らかになっています。

非喫煙者に比べ、喫煙者の精液量や精子濃度、総精子数、運動率、正常形態率などは極端に悪化してしまうのです。
また、喫煙の量が多ければ多いほど精子の質を低下させ、精液量を減少させてしまうことも分かっています。

逆に言えば、禁煙は精子に質を高め、精液量を増やす方法の一つになります。
良質な精子や精液量を増やしたいなら禁煙しましょう。

ちなみに、副流煙による受動喫煙でも精子に悪い影響を与えるので、喫煙者でなくても注意はしたほうが良いでしょう。

質の高い睡眠をとる

寝ている男性

精子や精液の生成には、男性ホルモンの一種である「テストステロン」が欠かせません。
そして、そのテストステロンの分泌を促すために役立つのが質の高い睡眠です。

質の高い睡眠とは、以下の様な睡眠を指します。

質の高い睡眠

  • 寝付きや寝起きが良い
  • 深い眠り(ノンレム睡眠)ができている
  • 睡眠中に途中で覚醒しない
  • スッキリ目覚めることができる
  • 心身の疲れが取れる

睡眠は、溜まった心身の疲労を回復させ、痛んだ体をメンテナンスしてくれるだけではありません。
睡眠中にこそ、テストステロンが大量に分泌されているのです。

しかし、睡眠時間が少なかったり、睡眠が浅かったりすると、テストステロンの分泌が減少してしまいます。

また、睡眠不足で疲労状態が続くとストレスを増大させることにも繋がります。
ストレスは、テストステロンの分泌を妨げたり、良質な精子の生成に悪影響を及ぼす原因になります。

良質な精子や精液量を増やしたいなら睡眠不足は避けた方が良いでしょう。

筋トレなどの運動を行う

クランチ

精子や精液の生成に欠かせないテストステロンは筋トレなどの運動で分泌を促すことができます。

特に、スクワットなどの下半身周りの筋トレを行うことで、勃起や射精などに関わる骨盤底筋(PC筋)を鍛えながらテストステロンを増やすことができます。

また、ランニングなどの有酸素運動も精子の質を高めることができると言われています。

良質な精子や精液量を増やしたいなら筋トレや有酸素運動を習慣化しましょう。

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股間を涼しく保つ

健康的な男性

精子が活発に生成されるには、精巣が体温より約2℃〜4℃低い温度を保つのが適切とされています。
陰嚢が体の外にぶら下がっているのは、精巣の温度を体温より低く保つためなのです。

精巣で精子を効率よく生成するためには、股間を涼しく保つことが大切です。

そのため、長時間のサウナやお風呂といった股間周辺が熱を持つようなことはなるべく控えたほうが良いでしょう。
また、男性の下着も通気性の良いトランクス(ゆったりとした下着)の方がブリーフ(ぴったりとした下着)よりも精子に良いとされています。

良質な精子や精液量を増やしたいなら股間を涼しく保つように心がけましょう。

必要な栄養素を摂取する

にんにくと牡蠣

精子や精液の生成には、日々の食事から必要な栄養素を摂取することが大切です。

良質な精子や精液量を増やすためには、以下の様な栄養素(食材)の摂取が欠かせません。

必要な栄養素 代表的な食材
亜鉛 牡蠣、ウナギ、にんにくなど
葉酸 ブロッコリー、ほうれん草、枝豆など
アルギニン マカ、大豆製品、鶏肉など
ビタミンA レバー類、ほうれん草、さつまいもなど
ビタミンB群 緑黄色野菜、納豆、玄米など
ビタミンC ブロッコリー、赤ピーマン、黄ピーマンなど
ビタミンE アーモンド、ウナギ、アボカドなど

上記の様な栄養素は精子や精液の生成に大きく関わります。
体内では生成することができない栄養もあるので、食事によって外部から摂取する必要があります。

特に、亜鉛はテストステロンの分泌にも関わり、精子の質や精液量に直結する栄養素なので積極的に摂取しましょう。

また、精子や精液の生成を妨げてしまうので、摂取を控えた方が良い栄養素も存在します。

以下の様な栄養素(食材)の摂取はできるだけ控えましょう。

控えるべき栄養素 代表的な食材
トランス脂肪酸 加工肉(ハムやスパム)、マーガリン、ショートニングなど
カフェイン コーヒー、エナジードリンク、紅茶など
アルコール お酒類全般

良質な精子や精液量を増やしたいなら食生活の見直しを行ってみましょう。

長時間の座位を避ける

スタンディングデスク

精子や精液の生成を促すためには、長時間の座位を避けることが大切です。

また、男性が長時間座位を続けることは、精子や精液の生成だけでなく、勃起や射精といった男性機能全般にも悪影響を与えます。
座位の状態が長く続くと、男性器周辺が圧迫され、血流が慢性的に悪くなってしまうからです。

血流の悪化によってED(勃起不全)を引き起こすこともあります。

特に、デスクワーク中心の仕事をしている方や自転車に乗る機会が多い方は気をつけたほうが良いでしょう。

良質な精子や精液量を増やしたいなら長時間の座位を避けるようにしましょう。

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まとめ~できることからコツコツと改善を~

良質な精子や精液量は、何か改善したからと言って急に増えるわけではありません。
些細な日常生活の改善からコツコツと積み上げられていくものなのです。

良質な精子や精液量を増やす方法には、習慣化するには難しいこともありますが、根気強く継続することが大切です。

妊活を成功させたい方や射精時の性的快楽を高めたい方は、できることから少しづつ改善してみましょう。

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